洋鉋(西洋鉋)
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/03/10 02:42 UTC 版)
主に西洋で用いられる鉋で、押して用いる事と、下端が台頭から台尻まで完全な平面に調整される事が特徴の鉋である。近年ではそれに加え、鋳鉄製の鉋台と、螺子による鉋身や刃口の調整等ができるような機構やハンドルなどを持つものを指す事が多い。更に日本のカンナとは逆に進行方向から見て刃口が鉋の台の前方に位置していることが多い。世界最古の台鉋はポンペイから出土し、全鋳鉄製の台を持つ鉋は1960年代半ばにアメリカで、レオナルド・ベイリー(英語版)によって発明された。主に英語圏の国ではベイリーパターンの鉋が、ヨーロッパ地域では古典的は木製の鉋が広く用いられている。 大きく分けて、日本の鉋と同じ様に、鉋身の刃の鎬面を下に向けて鉋台に仕込むBENCH PLANEと、上に向けて仕込むBLOCK PLANEとがあり、前者は荒仕子から仕上げ、長台などに相当する。後者は前者に比べ仕込み勾配が寝ている事が多く、裏金が無い一枚刃であるが、刃口を調整する機構が有る場合逆目は止める事が出来る。BLOCKとは肉切り用の木口を用いた俎板(Butcher Block)の事であり、木口(丸太の切り口)表面の繊維を潰す事無く削り取る事が出来る。また鎬面が上を向くため刃先角を使用者が鉋身を研摩する事で材質にあわせて25°〜60°位まで自由に変化させる事が出来、汎用作業に向く。 また西洋鉋は広葉樹の堅木を加工する事が多い事から、切削角が大きい物が多く、BENCH PLANEは45°〜55°、BLOCK PLANEは32°〜50°の物が多い。切刃角は鉋の種類に関わらず25°をPrimary Bevelとし、研ぎを楽にする為に刃先端だけに30°程度のMicro Bevelで刃を付ける事が多い。かつて裏は完全な平面に研摩されていたが、近年は研摩の省力化の為に刃裏先端だけ1°未満のBack Bevelを付けて研摩する事が主流と成っており、砥石と鉋身の間に定規を挟むことからその研磨技術のことをRuler trickと言う。 日本に全く無い種類の鉋として、Scraping PlaneとRouter Plane(抉り鉋)、それに櫛刃、Ground Bladeと呼ばれる形式の鉋身などが上げられる。Scraping PlaneはScraper bladeを鉋台に仕込んだ物で、立鉋と似ているが刃先に意図的にBurnisherで作った鉤(バリ)を使って切削する鉋で、硬木を楽に削れ、かなり複雑な木目でも逆目が起きない。Router Planeは電動工具のルータを基に成った鉋で、木に正確な深さの溝やへこみを付ける事が可能な鉋である。櫛刃は材料の大まかな平面を出す時や、逆目の板の荒仕上げ時に用いられる。Ground Bladeは刃先角度が90°の鉋身で切削角は100°以上となり、スクレーパーのような働きをする。 これらすべての洋鉋にはStanley Works社がそれぞれの機能や大きさに振り分けた番号が付いており、他社もそれに従った分類を行っている。
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