氏名の読み・表記・呼び方
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/05/01 01:25 UTC 版)
氏名の「読み」と表記 氏・名のどちらも、比較的独自の語彙があるため、ある人の氏名を聞いて、それが人の氏名とわかるのが普通である。また、氏か名かいずれかを聞いた場合、「ゆうき」「しょうじ」「はやみ」「わかな」「はるな」「よしみ」「あいか」「まさき」「とみお」などのごく稀な例外を除いて、それがどちらであるかを区別することも比較的易しい(これは、例えば英語でRyan, Douglas, Scottのように氏にも名にも用いられる語がかなり多くの人名に使われていることと対照的である)。 しかし、氏名を聞いた時にそれがどのような文字で書かれるかについては必ずしも分からない場合が多い。これは同じ読みの漢字がたくさん存在するという日本語の特徴のためである。また、漢字で書かれた氏名から正しい読み方が特定できない場合もある。これは、馴染みの薄い読み方(難読人名)であるために起こることもあるが、単に2つ以上のよく知られた読み方があるために起こる場合もある。日本の漢字は読み方が多いためこのようなことが起こりやすい(例えば、「裕史」という名はひろし、ひろふみ、ゆうし、ゆうじ、などと最低4通りの読みがある / 字面通りの読みである必要はないので、実際にそれ以上存在する)。そのため、各種の申込書・入会書・願書・申請書などに名を記す時に振り仮名の記載を求められる場合が多いが、法的にそれを証明する手段は少ない。これは、戸籍が読みではなく字を基準にした制度であるためである。 名前の呼び方 人が互いを呼び合う際には、氏と名の全て(フルネーム)を呼ぶことは多くない。あだ名や、氏・名に「さん」「ちゃん」などの呼称を付け、あるいは、肩書きや続柄に関する呼称、二人称代名詞、まれに字(あざな)などを用いることが多い。また、親しくない相手に、名のみで呼びかけるのは失礼との考えを持つ人が少なくない。 一般に、呼称をめぐる習慣は非常に複雑であり、簡潔に説明することは困難である。当事者間の年齢や血縁や仕事上の関係、社会的な文脈などによって大きく変化するが、そうした文脈の制約条件だけからは一意的に決まらないことが多く、個人的な習慣や好みなども影響する。さらに、方言などと絡んだ地方差も認められる。 英語表記 2000年には国語審議会が「言語や文化の多様性を生かすため名字を先にするのが望ましい」とする答申を出したが、理工系の研究者の論文やサッカーの登録選手名などを除くと広まっておらず、政府機関でも名→姓の表記が続いていることから2019年には柴山昌彦文部科学大臣が関係機関に対し姓→名の表記を要請した。2019年10月25日、『公用文等における日本人の姓名のローマ字表記について』が首相官邸から交付され、2020年1月1日より公文書等における日本人の姓名のローマ字表記は姓→名となった。例えば、「安倍晋三」はローマ字表記で「Shinzo Abe」ではなく「Abe Shinzo」となる。
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