正常に機能する社会
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2020/11/26 15:05 UTC 版)
キー・コンピテンシーは、個人的レベルと同様に社会的レベルとの関連でも定義づけられ、社会の観点で見れば、個々の人生を決定する要因のみならず、社会的目的の達成手段として重要視されている。学校教育による組織を通じて伝達されるキー・コンピテンシーは、通常、社会的目的を達成するための手段である。 資本主義社会では、個人的レベルでの利益や成功、特に経済的成功が重視されるが、あまりにも個人主義的で、限定的なアプローチであり、多くは何らかの犠牲を伴う。より包括的で全体的な方法で扱おうとすれば、社会的観点を取り入れて、人生の成功の概念化と同様に、正常に機能する社会の要因を特定化する必要があろうとした。 正常に機能する社会の特徴経済生産性 経済競争と経済生産性は、すべての社会の主要な目的である。人的資本論は、教育への投資を通じて獲得するキー・コンピテンシーと、個人のクオリティ・オブ・ライフの重要な要因である有給雇用とリソースへのアクセス、事業や企業の生産性、社会の経済性調度との間の直接的な関係について扱っている。 民主的プロセス OECD諸国内外でも基本的に重要な事項である。集団の問題はそれによって影響を受ける全てのステークホルダーによって解決するべきという原則。事前にコミュニティで合意されたルールに従って解決するべきとの原則は、誰もが認める社会的善である。 連帯と社会的結合 連帯とは、社会資本の1つの要件であり、社会の基本的な要素の1つである。価値観の共有を基礎とし、個人的な価値志向を通じて確立するもの。また、一体性をもった社会を特徴づけることが社会のもつ価値や制度の受容であることに触れている。 人権と平和 世界人権宣言に基づく理念を引き継いでいる。人権の平和の実現は、コンピンテンスに依拠することを示唆している。 公正、平等、差別感のなさ 機会均等と正義は、多くの現代社会の憲法に取り入れられ、世界人権宣言にも明記された基本的原則である。正義、機会、均等と差別がないことは、社会の質の重要な要因を構成することは基本的な事であり、キー・コンピテンシーの主要な関係要因として働くことになる。 生態学的持続可能性 1992年の国連地球サミットにおいて合意されたアジェンダ21では、生態学的発展と経済的、社会的領域の持続可能な行動計画について述べられている。次の世代が健康な環境を享受できるように保障する社会的戦略の採用と実施を推進している。 ※DeSeCo報告書を元に作成。 正常に機能する社会の要因は、個人的な人生の成功の要因と類似するが、個人的あるいは少数のみの欲求では、社会は正常に機能しない。争いは社会的現実の本質的な部分であり、当然ながら、個人的レベルや社会的レベルでの目的や価値観の違いによって生じるものかもしれない。例えば、豊かな生活水準を達成し維持するため個人が選択する手段や実践は、他の事柄、他人の欲求や権利、あるいは自然環境の健全さと相容れないかもしれない。同様に、正常に機能する社会が要求するのはある程度の効率性を持った意思決定や行政であり、それらに従うことは個人に影響を及ぼす決定や行動を制限することもある。しかし、多くの場合、個人と集団の目的は、一定領域では重なり合うというのがDeSeCoの見解である。
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