欧州政治への影響
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/05/30 17:02 UTC 版)
当初、欧州懐疑主義は北欧諸国で色濃く見られた。例えばイギリス、スウェーデン、デンマークは欧州連合の経済通貨統合には完全に参加していない。非加盟国であるノルウェー、アイスランド、またスイスもとりわけドイツ語圏の州では欧州連合との関係の拡大や加盟について消極的である。近年では中東欧の比較的新しい加盟国や、長年加盟を求めてきたトルコにおいてですら欧州連合に懐疑的な傾向が強まっている。 欧州連合の世論調査実施機関であるユーロバロメータによると、自国は欧州連合に加盟していることで利益を受けていると感じているかという質問に対して、「はい」と回答したのはスウェーデンでは10人中3人未満、イギリスでは10人中4人強にとどまっている。大陸ヨーロッパ諸国では欧州連合支持の傾向が強いものの、すべての国において何らかの形態で懐疑的な動きが存在している。2004年の新規加盟国の中ではチェコが最も懐疑的であるという傾向がある。 欧州懐疑主義は次のような形で表れている。 2005年、フランスとオランダで欧州憲法条約批准が国民投票で拒否される。 ノルウェーで欧州連合加盟が過去2度にわたって国民投票で拒否される。 スイスで欧州経済領域参加が国民投票で拒否される。 デンマークでマーストリヒト条約批准が国民投票で拒否される(のちに改めて国民投票が実施され、批准が承認される)。 デンマークでユーロ導入が国民投票で拒否される。 アイルランドでニース条約批准が国民投票で拒否される(のちに改めて国民投票が実施され、批准が承認される)。 スウェーデンでユーロ導入が2003年9月14日実施の国民投票で拒否される。 アイスランドが欧州連合に未加盟である(ただしEFTAには加盟)。 グリーンランドが1979年の自治権を得たさいに、欧州連合(当時は欧州諸共同体)の脱退を選択する。 イギリスがシェンゲン協定や経済通貨統合に消極的であり、2016年にはEUからの脱退を宣言。 フィンランド大統領選挙で、欧州連合脱退を唱えたティモ・ソイニが事前の世論調査を上回る3.4%の得票率を得た。 2010年以降の欧州の通貨危機によってギリシャ、スペインといった南欧の諸国が経済危機に陥り、ドイツなどがそれを財政支援する形になったため、支援をする側ではこれに不満を持つ人々が増加している。ドイツでは2013年の連邦議会選挙でドイツのEUからの離脱を掲げる新党「ドイツのための選択肢」が議席獲得に必要な5%に迫る(4.7%)得票を得ており、やはり2013年に行われたオーストリアの国民議会(下院)選挙でも反ユーロを掲げる極右の自由党が議席を伸ばすなど、通貨危機をきっかけに各国で反ユーロ、反欧州連合をとなえる政党が勢力を拡大させている。
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