植物に対する病原性
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/06/03 15:11 UTC 版)
「シュードモナス属」の記事における「植物に対する病原性」の解説
P. syringaeは植物に対して非常に多くの疾病をもたらす病原体である。宿主植物に高度に特異的である、50種類の病原型が存在する。他のシュードモナス属菌の多く、とりわけP. syringaeの亜種は植物に対する病原体であるが、植物病原体としてP.syringaeが最も一般的であり、最もよく研究されている。 厳密には植物病原体ではないが、P. tolaasiiは栽培キノコにしみを生じさせる。このため農業において問題視されている主要なシュードモナス菌のひとつである。 P. agariciは、垂れた鰓のような外見の変化を栽培キノコに与える。 P. tomatoは多様な病原型を持ち、様々な植物に感染する。トマトに感染して果実を実らないようにする病原型のほか、それぞれ、キュウリ、セロリ、キンギョソウ、パッションフルーツなどに感染する病原型が存在する。
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植物に対する病原性
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/04/15 16:17 UTC 版)
「アグロバクテリウム」の記事における「植物に対する病原性」の解説
腫瘍原性アグロバクテリウム(旧来A. tumefaciensとされていたもの)は多くの双子葉植物および一部の裸子植物・単子葉植物に虫こぶ様の腫瘍(根元などに生じ、根頭癌腫、クラウンゴール crown gall と呼ばれる)を起こす。この菌はTiプラスミド(pTi: Tiはtumor-inducingの略)と呼ばれる巨大なプラスミドを有しており、その一部であるT-DNA(transfer DNAの意)と呼ばれるDNA断片を植物細胞に注入し、T-DNAは相同組換えにより植物細胞のゲノムに挿入される。ただし、T-DNAの両末端の極めて短い配列とゲノムの配列との相同組換えであるため挿入位置はかなりランダムであり、実質的にはほとんどが非相同組換えによってゲノムに挿入されるといってよい。T-DNAは植物ホルモン(オーキシンとサイトカイニン)を生成する酵素の遺伝子であるiaaM(tms1), iaaH(tms2), iptZ(tmr)を含み、これらによって生産される大量のオーキシンやサイトカイニンにより腫瘍が形成される。またT-DNAはオパイン (オピン: Opine) と総称される特殊なイミノ酸(アグロバクテリウムは炭素源や窒素源として代謝できるが、他の細菌はほとんど利用できない)を植物に作らせる酵素をコードしている。根粒菌などの窒素固定細菌とは異なりアグロバクテリウムは寄生細菌であって、植物にとって利益はない。このアグロバクテリウムの性質は「植物に対する遺伝的植民地化」とも喩えられる。 Tiプラスミドは大きい(20万塩基対前後)プラスミドで、T-DNAの他にT-DNAを植物細胞に輸送するのに働く遺伝子群(vir region)やオパインを分解消費するための遺伝子などを持っている。vir regionはvirA, B, G, C, D, Eの6つのオペロンから形成されており、それぞれのオペロンは複数の構造遺伝子を含んでいる。なお、virCオペロンのみ転写方向が他のvirオペロンとは異なる。サクラの木とサクランボの木のクラウンゴールから分離されたTiプラスミド(pTi-SAKURAとpTiC58)の全塩基配列が明らかにされている。最もよく研究されている細胞株はA. tumefaciens C58(サクランボの木のクラウンゴールから分離された)で、GoodnerらとWoodらにより同時にゲノムの完全配列が明らかにされた。A. tumefaciens C58のゲノムは環状の染色体、2個の環状プラスミド、および1本の直線状染色体からなる。環状染色体を有する細菌はごく普通だが、それに加え直線状染色体を持つのはアグロバクテリウム属の一部のグループに特有である。2つの環状プラスミドはpTiC58(病原性に関与する)とpAtC58である。pAtC58はオパイン(A. tumefaciens C58が生成するオパインはノパリン〔Nopalin〕と呼ばれる)の代謝に関与し、これはpTiC58がない場合には他の細菌にも転移する。 なお、植物の腫瘍はアグロバクテリウムだけでなくむしろ昆虫(虫こぶ)などによるものが多い。根にこぶを作る病原体には根こぶ病菌(原生生物ネコブカビ)やネコブセンチュウ(線虫)がある。 また発根性アグロバクテリウム(旧来Agrobacterium rhizogenesとされていたもの)はpTiに相当するプラスミドpRi内にT-DNAをもつが、これは植物に腫瘍でなく不定根を発生させる性質がある。この不定根の形成はひげ毛病とよばれ、高密度に枝分かれした根が大量に増殖するというものである。これを利用するのが毛状根培養である。
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