梅毒トレポネーマとは? わかりやすく解説

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梅毒トレポネーマ [Treponema pallidum]

 梅毒原因菌スピロヘータ科に属する。グラム染色では陰性であるが染まりにくいので、一般にライト染色ギムザ染色を行う。 梅毒感染大きく二つ分けられる一つは、梅毒トレポネーマに感染している人との直接接触感染によって感染するもので、もう一つは梅毒トレポネーマに感染している妊婦での胎児胎盤感染による先天性梅毒である。
 梅毒トレポネーマに感染しているヒト性交などを介して直接接触すると、接触局所から梅毒トレポネーマが侵入し、大体3週位で局所リンパ節増殖する一般に泌尿生殖器周辺感染をするので、その近くにある鼠径部リンパ節腫れて固くなる硬性下疳)。この時期第一期呼ばれ硬性下疳無痛横痃部位からは梅毒トレポネーマが検出される。この症状治療をしてもしなくても一旦消失するが、梅毒トレポネーマは全身広がる。更に3ヶ月ほど経つと第二期として、全身バラ腫とか梅毒性丘疹呼ばれる皮疹現れるが、放っておいても再び症状消失する。この時期には梅毒トレポネーマが検出されないが、体内では梅毒トレポネーマに対す抗体ができてくる。更に3年ほど経つと、第三期呼ばれ全身臓器変性しゴム腫になり、その後変性梅毒になる。適切で持続的な化学療法剤による治療行えば第二期第三期という病気進行防げるが、それぞれの境目で一旦症状軽快たように見えるので、その時治療中断するその後治療困難になる
 先天性梅毒の方は、妊娠中に胎盤内で感染し多く死産流産起こす無事に出生する胎盤内で第一期第二期経過しているので、第三期より発症する生まれてきた時には先天性梅毒特徴であるハッチンソン歯、鞍鼻、サーベル脚、実質性角膜炎内耳性聾などを引き起こす
 スピロヘータ科の細菌人工培地での培養不可能なものが多く、梅毒トレポネーマもヒト病原性のあるものは人工培養できない。梅毒トレポネーマを増殖させる方法として、家兎睾丸検体接種する接種し暫くすると梅毒トレポネーマが増殖して睾丸腫れ上がるので、睾丸取り出して磨り潰す大量の梅毒トレポネーマが取れる。
 ドイツエールリッヒの所に留学していた北里柴三郎弟子秦佐八郎イタリアで習得してきたこの技術駆使して次々と家兎睾丸接種し、さらに606種類化学物質家兎投与した最後606番目の化学物質であるサルバルサン世界で始めて梅毒治療用化学療法剤として発見1910年)したのは有名な話です。梅毒診断は梅毒トレポネーマの培養現在のところできないので、梅毒トレポネーマに対す抗体価測定する血清学診断を行うが、結核自己免疫病など梅毒以外の疾患でも反応陽性に出ることがあるので、病気診断には慎重を期す必要がある


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