柔然=アヴァール説とは? わかりやすく解説

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柔然=アヴァール説

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/05/07 20:33 UTC 版)

柔然」の記事における「柔然=アヴァール説」の解説

初めて柔然=アヴァール説を唱えたのは、フランスジョゼフ・ド・ギーニュであった。彼は7世紀東ローマ帝国歴史家テオフィラクト・シモカッタ記録中国史書照らし合わせ、その共通点見出した。 テオフィラクトの記録 テュルク (Türk) に破られる前のアヴァールは全スキタイ東方遊牧民)中の最強であったアヴァールテュルク撃破されると、その一部Taugas なる国と Mukri(ムクリ)に逃亡したアヴァール君主号は「Gagan」または「Khaghan」という。 中国史書 柔然突厥テュルク)に撃破される以前は、北狄第一強者であった柔然突厥破られると、その一部西魏逃亡した柔然君主号は「可汗」という。 ドギーニュはこの3点から柔然アヴァール推定したのであるちなみに、テオフィラクトの記録にある「Taugasタウガス)」であるが、これは西魏氏族名拓跋」(たくはつ)にあたるとされた。 また、ドイツのヨーゼフ・マルクァルト (Josef Marquart) は、「Mukri」に逃亡したアヴァールについて、「Mukri」はメルキト部に比定し、五代後晋後周の胡嶠『陥記』に「バイカル地区に嫗厥律なる種族がいた」という記述から、「嫗厥律 (Yüküelü) は、郁久閭 (Yukiulu) に間違いなくメルキト部に柔然一部逃亡していた」とし、柔然=アヴァール説を一層深めた。 しかし、マルクァルトの説は妥当ではないと、フランスシャヴァンヌ (Ed. Chavannes) は「Mukri」=「勿吉 (Muki)」とした。テオフィラクトの記録には、「Mukri は Taugas拓跋王朝)に隣接する極めて勇武民族」と記し『北史』勿吉伝には、「勿吉国は高句麗の北にあり、東夷において最強である」と記していることから、勿吉テュルク対抗する一大勢力であり、テュルク突厥)に敗れた柔然一部亡命することは極めてあり得るとした。さらにシャヴァンヌは、テオフィラクトの記録に「アヴァール民族中に住む Hermichion の王の Askel なる者が、563年東ローマ使者よこした」とあるが、この「Hermichion」を、真正アヴァール柔然)がに関する蠕蠕呼ばれたように、ペルシア人が偽アヴァールを Kerm()の名で呼んだのであるとした。 これを裏付けるように Schaeder は、「アヴァール (Avars)」の語源モンゴル語の「abarga(動)」としている。 他にもアヴァールの君長 Anagaios は阿那瓌比定できることや、「アヴァール大使 Kandikh 一行リボンをつけた長い辮髪を背に垂らしていた」「その汚れた辮髪」などという諸記録『隋書』突厥李徹伝に「開皇5年585年)、阿抜国が挙兵し突厥沙鉢略可汗部落荒涼したが、隋は援軍一万出して沙鉢略を助けたので、阿抜軍が退去した」とあり、阿抜=アヴァール比定できることなどがある。 以上のことから、アヴァールとは柔然の本来の民族名で、柔然とは民族名ではなくアヴァール人建国した国名であるとし、555年鄧叔子柔然突厥撃破され、その一部西魏亡命した後、557年にはまた別の一部勿吉亡命し西方では東ローマ帝国亡命585年の阿抜の乱において柔然残党滅んだ考えられる

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柔然=アヴァール説

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/04/28 23:50 UTC 版)

アヴァール」の記事における「柔然=アヴァール説」の解説

詳細は「柔然#柔然=アヴァール説」を参照 フランス史家ジョゼフ・ド・ギーニュは、7世紀東ローマ帝国歴史家テオフィラクト・シモカッタ記録中国史書照らし合わせ、以下の3つの共通点柔然アヴァール根拠とした。 テオフィラクトの記録 テュルク(Türk)に破られる前のアヴァールは全スキタイ東方遊牧民)中の最強であったアヴァールテュルク撃破されると、その一部Taugasなる国とMukri(ムクリ)に逃亡したアヴァール君主号は「Gagan」または「Khaghan」という。 中国史書 柔然突厥テュルク)に撃破される以前は、北狄第一強者であった柔然突厥破られると、その一部西魏逃亡した柔然君主号は「可汗」という。 テオフィラクト・シモカッタ著書世界史』において、アヴァールを真アヴァールと偽アヴァール分けているが、柔然=アヴァール説では真アヴァール柔然比定し、偽アヴァールヨーロッパアヴァール比定することもある。

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