有料道路とすることの問題点
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/04/03 22:40 UTC 版)
「名阪国道」の記事における「有料道路とすることの問題点」の解説
前述のように、当初は有料道路方式も考慮された名阪国道は、地元奈良県及び三重県の費用負担により、亀山-天理間を無料として工事に着手したが、1964年には工事費の負担の問題などから、有料道路に変更して建設することも検討された。しかし、有料にした場合は次のような問題点があったため、当初の予定通り無料の一般道路として建設された。 「1 構造規格の再検討を必要とする」準高速道路扱いで特例を適用した構造規格であったが、有料にする場合は、登坂車線、インターチェンジや休憩施設の加減速車線長など、構造規格の再考察が必要となること。 「2 インターチェンジの制限を必要とする」料金徴収や出入制限のため、三重県内のIC数を17か所から3か所程度に制限する必要がある。それにより、沿線地区の直接利用が不可能になることの反響も無視できない。さらに料金所を設置するために1か所当たりの建設費用(名阪国道A級ICが1箇所5000万円の計画であるのに名神高速道路の実例で5億円から11億円)がかかること。 「3 側道の施工を先行する必要が生じる」 トンネル区間を除いた大部分の区間で側道を計画しているが、当初はこれを施工せずに、第2期施工の際に側道を考慮する予定であった。しかし、有料となると側道を同時施工する要求がなされると考えねばならず、これを考慮すると、第1期施工の切土を第2期施工の盛土として使用することができなくなり、工費及び工期に大きな影響を与えること。 「4 用地の取得が非常に困難となる」公共道路(無料)として整備すると住民に説明して地元協議を行っていたが、有料となると現在迄の用地交渉用地を白紙に戻すという通告まで受けている。また名神高速道路と公共事業における用地単価の差額を指摘されていた現実からみても、相当困難な状態が発生することは想像にかたくない。 「5 事務引き継ぎ上の問題点」 ①日本道路公団自らが施工する場合と②建設省が公団から委託を受けて施工するという2方法が考えられるが、事務引継などから停滞必至であること。 「6 工期を延長する必要がある」以上の問題点を解決するには工期を延長する必要があり、1000日間で完成させるという目標が達成できなくなること。 「7 事業費を大幅に増額する必要がある」当初の計画では、三重県内42 kmの暫定2車線供用までの事業費が110億円であったが、有料道路にすると暫定2車線でも160億円程度になると考えられ、これは全巾完成の事業費175億円に匹敵して、事業費を大幅に増額する必要があること。 「8 1000日開通は根本的に不可能である」片側2車線でも工事量からみて常識を上回る規模であるが、有料道路とした場合片側開通という過渡的な状態で供用開始できるかどうか大きな問題となる。 「9 現25号を改良する必要がある」当時、国道25号(現道)の道路改良率はわずか10 %であり、名阪国道が有料となれば、一級国道(当時の等級)として存続する現道を改良しなければならず、相当程度の事業費が必要となる他用地買収等の困難な事態に直面すること。 なお、建設省名阪国道事務所は、県の負担軽減のために有料道路化を陳情した三重県に対し「1級および2級国道の昇格に運動し、昇格したら早期完成をうたいながら、分担能力がないから全額国庫負担或いは、有料道路とは言語道断といわざるを得ない」と厳しく批判している。 一方、奈良県知事・荒井正吾は、2019年9月10日に、接続する一般道路の交通量が過密になっていることを理由として、奈良県内区間の有料化を国へ陳情した。
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