曲集構成
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2020/11/27 08:49 UTC 版)
「落葉松 (小林秀雄)」の記事における「曲集構成」の解説
全4曲からなる。以下、改訂版の記載に基づいて述べる。 飛騨高原の早春ト長調。詩は岩間純。1971年作曲の独唱曲を1977年に女声合唱曲に編曲。ロンド形式。 8分音符=216のテンポ指示とともに、「この曲は軽快に速く、8分音符1個が1分間に216の速さで演奏して下さい」と、テンポ指示を厳守するよう付記がある。これについて小林は「テンポこそ、指揮者、奏者の発想や解釈すべての出発点であり、極論すればその音楽のあらゆる次元を決定するものといえよう」「本来、楽譜の題名の下にテンポに関するコメントなどを書くべきではない。しかし、それを百も承知で私が書いたのは、余りにも自己流の(既成概念での)テンポによる演奏が多いためである」「一般に合唱曲の演奏には、必要以上にねばる傾向が見うけられる。メトロノーム表示は絶対ではないが、あまりに差をつけてしまうと、詞・曲の内容や様式にマイナスとなることを、わきまえておきたい」として、楽譜から離れた演奏に陥ることを厳しく戒めている(他の3曲にも、テンポ指示を厳守するよう付記がある)。 あなたと わたしと 花たちとト長調。詩は峯陽。1976年に女声合唱曲として作曲。A-B-A'の三部形式を繰り返す。フォークソング調のこの曲は、ある若いカップルの結婚を祝って作られた"門出のうた"である。同時にまた"春のうた"でもある。峯はこの詩を小林の家のグランドピアノの下に潜り込んで書いたという。 瞳ト長調。詩は薩摩忠。1969年作曲の独唱曲を1980年に女声合唱曲に編曲。A-B-A'-B-A'の三部形式。「この曲は速さと表情の変化を明瞭に。」との指示がある。 落葉松ヘ長調。詩は野上彰。1972年作曲の独唱曲を1976年に女声合唱曲に編曲。女声合唱版は1981年(昭和56年)度全日本合唱コンクールにおいて課題曲として採用され、1985年(昭和60年)度NHK全国学校音楽コンクール高等学校部門においても課題曲として採用された。A-A'-B-A'の二部形式にのせ、ピアノの間奏を挟みつつ後半のB-Aを反復して終わる。オブリガートは取り除いて演奏しても「音楽の内容にとってマイナスにはならない」としつつも「オブリガートの最高音(B)が聴衆に与える感動は決定的である」としている。 曲頭には「この曲は指定の速さを守り、大切に演奏して下さい。なお、8分音符と3連符を正確に区別して下さい」、ピアノのアウフタクトには「Cの音をペダルで残さずに」、8小節のピアノには「右手のひき方を正確に」等々、他の3曲にもまして正確に演奏するよう指示する旨の付記が随所にちりばめられている。巻末の解説でも「人心の深奥に働きかける佇まいの詩・曲であるが、センチメンタルに陥らぬ、起伏の明瞭な演奏を望む。ピアノの右手で刻む3連音符の和音は、各フレーズの詩の内容をこめて、正確に刻むこと」と念を押している。
※この「曲集構成」の解説は、「落葉松 (小林秀雄)」の解説の一部です。
「曲集構成」を含む「落葉松 (小林秀雄)」の記事については、「落葉松 (小林秀雄)」の概要を参照ください。
- 曲集構成のページへのリンク