星の数について
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/03/12 16:25 UTC 版)
星の数は12個に固定されており、欧州連合の加盟国数とは関係づけられていない。(1986年-1995年の間は、EC/EUの加盟国数と星の数が一致していた。) 星の数に関してはこのような話がある。旗のデザインを協議していた1953年、欧州評議会の加盟メンバーであった国と地域は15あった。旗を決める際、「星の数を15個とし、星の一つ一つが現状の各加盟メンバーを表し、星の数は将来の加盟メンバーの増減にかかわらず変更しないこととする」という提案があったが、これが議論を呼んだ。西ドイツは、加盟メンバーの中にその帰属が議論の対象となっていたフランス保護領ザールがあることから、西ドイツとザールが別々の星として表現される案に反対し、星はその表す地域の「主権」の意味を含むようにしようと提案した。今度はフランスが星を14個とすることに反対し、それはザールの西ドイツへの吸収を意味すると抗議した。言い伝えでは、ここでイタリア代表が、15個でも14個でもだめだとすると13個となるが、それは(キリスト教圏においては)不吉な数であり、また初期のアメリカ国旗が13個の星を円形にあしらっていたので、(欧州統合がアメリカ一極集中に対抗する目的であるにも関わらず)デザインが同じになってしまうと反対したという。 そこで政治的に問題のない星の数として、また同時に完全と無欠 (perfection and completeness) のシンボル数として、結果として「12」という数が採用された。 12という数には、西ユーラシア・地中海世界のさまざまな文化と伝統で次のような特別な意味があるため、欧州旗の星の数が12であるということはヨーロッパの伝統に連なるものといえる。 黄道の十二星座(十二宮) 時計の十二の時刻 一年の十二の月 キリストの十二使徒 『皇帝伝』の十二人のローマ皇帝(スエトニウスの『ローマ皇帝伝』から) オリュンポスの十二神 ローマ法の十二表法(ローマ法) 一方、12個の星の数は、そこにより深い隠された意味を求める、根拠のない多くの主張や陰謀論を生んだ。たとえば、カトリック美術に描かれる、聖母マリアの頭の後ろにある12個の星が輪になって連なった後光と関連付けられ、そこから欧州統合の目的はカトリックの復権や神聖ローマ帝国再建である、などといった反バチカン的陰謀論につながることがある。興味深いことに、いくつかの頑固なキリスト教系宗教団体は、星の輪がバビロニア神話の「天后 (Queen of Heaven)」イシュタルを表すとして、EUの背後に異教的な動きがあることの証明だという正反対の主張をしている。1955年に欧州旗のデザインを手がけたアルセーヌ・ハイツ (Arsène Heitz) はヨハネの黙示録の一節、『一人の女が太陽を着て、足の下に月を踏み、頭に十二の星の冠を戴いていた。』(第12章の1)にインスパイアされたと認めている。しかし、欧州連合は、これら聖書に関する噂を公式に「ただの伝説」と否定している。
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