星の揺りかご
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/03/13 10:36 UTC 版)
HII領域で実際に星が誕生する場面は、生まれたばかりの星を取り巻くガスと塵の濃い雲に隠されて見ることができない。星からの輻射圧によって星の「繭」が取り払われて初めて我々が目にすることができるようになる。それより前は、新しい星を含んだ密度の濃い領域が電離した星雲の前にシルエットとして見えている場合が多い。これらの暗い染みは、1940年にこの暗い領域が星の誕生する場所である可能性を示した天文学者、バート・ボックにちなんで、ボック・グロビュールとして知られている。 ボックの仮説が確かめられたのは1990年になってからであった。赤外線観測によってついにボックのグロビュールの厚い塵の層を見通すことができ、若い恒星状の天体が内部に存在することが明かされた。現在では、典型的なボックグロビュールは1光年程度の大きさで約10太陽質量の質量を持ち、連星や複数の星からなる恒星系を作る元となっていると考えられている。 HII領域は星が誕生する場所であるだけでなく、その中には惑星系も存在するという証拠が見つかっている。ハッブル宇宙望遠鏡はオリオン大星雲の中に数百個の原始惑星系円盤を発見している。オリオン大星雲にある若い星のうち少なくとも半数にはガスと塵の円盤が取り巻いており、我々の太陽系のような惑星系を作るのに必要な量の何倍もの物質を含んでいると見られている。
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