星の形成の終わり
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/06/03 01:02 UTC 版)
「膨張する宇宙の未来」の記事における「星の形成の終わり」の解説
今から1014年後、星の形成が終わる。この時代は縮退の時代として知られ、星の残骸物が消滅するまでこの時代は続く。恒星進化論によれば、最も小さな恒星は恒星の燃料である水素を使い切るまでの時間が最も長い。それゆえに宇宙で最も長い間、輝き続ける星は軽量の赤色矮星である。赤色矮星はおよそ0.08太陽質量の重量で、10兆年ほどの寿命を持っている。赤色矮星が寿命を終える時期は、星の形成が終わる時期と同じ時期である。一度星形成が終わり、赤色矮星が水素を使い果たしたあと、核融合は終わる。軽い赤色矮星はそのまま冷えて、黒色矮星になる。宇宙空間に残る天体は、惑星よりも重く、0.08太陽質量程度以下の質量持つ褐色矮星と、コンパクト星と白色矮星と中性子星とブラックホールのみになる。白色矮星は0.08太陽質量から8太陽質量の間の星によって生み出され、ブラックホールは8太陽質量を超える星によって生み出される。宇宙の天体を合計した質量のうちおおよそ90%が白色矮星によって形成される。宇宙からエネルギー源がなくなることで、以前は輝いていた天体も、冷え込んで微弱な光を放出するだけになる。 すべての星が燃え尽きたあと、宇宙は非常に暗くなる。しかしこの状態でも時折宇宙に光をもたらす現象がある。例として2つの炭素と酸素を含む白色矮星が衝突したとき、合体したことで1.4太陽質量を上回り、チャンドラセカール限界が生じて、宇宙は照らされる。衝突の結果、核融合反応が暴走してIa型超新星となり、数週間の間、縮退の時代の暗黒を晴らす。もし白色矮星の衝突の結果、炭素による核融合が起きるための最小の質量(約0.9太陽質量)を超えなかった場合、炭素星が生成される。炭素星は100万年ほどの寿命がある。また、もしヘリウムでできた白色矮星が衝突して、0.3太陽質量以下であるならヘリウム星が生成される。ヘリウム星は数億年ほどの寿命がある。最終的に褐色矮星は新たに星と衝突することで赤色矮星を生成する。赤色矮星は10兆年ほどの寿命がある。あるいは赤色矮星と同様に水素による核融合が始まるほどの質量に成るまでの間、非常に緩やかに残存する星間物質を集める。この過程は少なくとも白色矮星においてはIa型の超新星爆発を誘発させる過程と同じである。
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