日本経済への影響
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/05/12 10:23 UTC 版)
「インバウンド消費」の記事における「日本経済への影響」の解説
2015年7-9月期のインバウンド消費額は、前年同期比約82%増の約1兆9億円となり、四半期ベースで初めて1兆円台に到達、2015年1-9月の累計では前年同期比77%増の約2兆6千億円と過去最高を記録した2014年1年の消費額(約2兆300億円)を超えており、年間では3兆円を超える勢いとなっており、個人消費の下支え役となっている。 観光庁によると、2014年の費目別消費額は、買物代が7146億円で35.2パーセント、宿泊代が6099億円で30.1パーセント、飲食費が4311億円で21.3パーセントなどの順になっている。買物代が占める割合は、2011年の29.8パーセントから増大傾向にある。観光客の購入率は、「菓子類」が 63.6パーセント、「その他食料品・飲料・酒・たばこ」が 51.7パーセントと、食品の購入が最も多く、「服(和服以外)・かばん・靴」で 37.2パーセント、「化粧品・香水」で 31.9パーセント、「医薬品・健康グッズ・トイレタリー」で 31.8パーセントであった。購入者単価については、もっとも高いのは「カメラ・ビデオカメラ・時計」で6.6万円で、「電気製品」の4.1万円、「服(和服以外)・かばん・靴」の3.2万円などの順であった。 百貨店売上高に占める訪日外国人旅行者の売上高の割合は、2011年の0.2パーセントから2014年には2.5パーセントまで上昇するなど、小売業におけるインバウンド消費の影響は高まっている。地域別では、北海道・関東地方・近畿地方での消費が大きい一方、東北地方・四国地方・九州地方では消費が小さい傾向にあるが、免税制度が全品目に拡充されて以降は、これまで訪日観光客数増加の恩恵が少なかった地方においても免税店が急増しており、インバウンド効果は、地方にも拡大しつつあるといえる。 2015年には、中華人民共和国の経済が減速し、それに伴って対中輸出額は減少したが、輸出の減少率を上回る規模で中国人のインバウンド消費額は伸び、対中輸出減少による経済への影響を軽減しており、経常収支の黒字にも寄与している。毎年春節の時期には、訪日観光客数が特に集中する傾向にあり、2015年2月には、単月過去最高の1,387,000人となり、中でも中華人民共和国からの観光客が前年同月比約2.6倍の359,100人で、中国からの観光客数が初めて30万人を越えた。2019年2月、中国からの観光客数が72万人に達した。 旅行消費総額では、やはり中国人観光客が目立つが、2019年の1人当たりのインバウンド消費額は212,810円であり、オーストラリア人観光客が247,868円でトップとなった。 観光産業は、小売、飲食、運輸、宿泊など裾野が広く、少子高齢化が進み、縮小傾向が続く日本市場において、有力な成長産業であるとともに、日本経済の牽引役としての役割が期待されている。
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