日本の防空壕
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/06/22 16:18 UTC 版)
都市部に多数ある地下鉄の駅の大部分は、十分深い場所に建造されており、防空壕として使える(ウクライナでも地下鉄駅が防空壕として使われている。日本でも太平洋戦争中では地下鉄銀座線の駅が防空壕として使われた)。 2004年に施行された国民保護法では、弾道ミサイルの着弾などを想定して都道府県知事と政令市長に避難施設の指定を義務付けている。2020年4月時点で指定された施設は約9万4千だった。(だが、そのうち地下施設は(わずか)1127しかなく、その時点では地下鉄駅の指定がゼロで、明らかに地下鉄駅を活用した指定が遅れていた。)だが2022年ロシアのウクライナ侵攻が始まり緊張が高まると状況が一気に変化し、地下鉄駅の指定数が増え始め、4月後半までに300を超える地下駅舎が避難施設として指定された。たとえば大阪府・大阪市・堺市は2022年5月7日に大阪メトロの全133駅中108の地下駅舎を避難施設に指定したと発表し、避難場所を「改札の手前まで」と設定(避難者が線路上に落ちることを防ぐため、とのこと)。日本の地下鉄駅は、ウクライナの地下鉄駅のように最初から核攻撃を想定して100m以上の深さに造っているのではないのでさすがに核兵器の直撃までは耐えられないが、それでも(ありきたりの、一定の)ミサイルであれば命を守れる可能性が十分に高くなる。(なお東京都は地下鉄網が発達しており地下鉄駅も非常に多いのだが、2022年4月時点では地下鉄駅の活用については後手にまわっており、まだ検討中で避難施設指定がゼロの状態にとどまっている(いた))。 一般住宅の防空壕に関しては、地下室を建造している住宅ではその地下室を地下壕として一応使うこともできる。マンションなど鉄筋コンクリート造で地下駐車場を備えているものも、その地下駐車場を地下壕として一応使うことができる(完璧ではないにしても、命を守れる可能性が十分に高くなる)。一方、木造の一戸建ての民家は上部構造が頑丈ではなく、地下室があったとしても1階の直下が地下室で1階と地下の境も薄く、床・天井もただの木製の板なので、爆弾の直撃には耐えられない。ウクライナが侵攻されたのを期に、日本でも金属製で頑丈な家庭用シェルターへの関心が高まっている。たとえばイスラエル製の頑丈な金属製シェルターは幅約2m x 奥行約4m x 高さ約2mというサイズで乗用車1台分のスペースがあれば設置でき、収容人数は最大5人、価格は税別500万円台。核攻撃を想定した、放射性物質を侵入させないエアフィルターを用いた換気装置を備えた輸入品も販売されている。
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