日本の関連法規
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/06/15 07:44 UTC 版)
日本国憲法第18条 何人も、いかなる奴隷的拘束も受けない。又、犯罪に因る処罰の場合を除いては、その意に反する苦役に服させられない。 労働基準法第5条(強制労働の禁止) 使用者は、暴行、脅迫、監禁その他精神または身体の自由を不当に拘束する手段によつて、労働者の意思に反して労働を強制してはならない。 第117条 第5条の規定に違反した者は、これを1年以上10年以下の懲役又は20万円以上300万円以下の罰金に処する。 労働基準法第5条は、日本国憲法第18条の趣旨を労働関係において具体化し労働者の自由の侵害、基本的人権の蹂躙を厳罰をもって禁止し、もって封建的悪習を払拭し、労働者の自由意思に基づく労働を保障せんとすることを目的とする(昭和23年3月2日基発381号)。 「精神又は身体の自由を不当に拘束する手段」とは、精神の作用又は身体の行動を何らかの形で妨げられる状態を生じさせる方法をいう。「不当」とは、本条の目的に照らしかつ個々の場合において具体的にその諸条件をも考慮し、社会通念上是認しがたい程度の手段の意である。したがってたとえ合法的なものであっても「不当」なものとなることがある(昭和22年9月13日発基17号、昭和63年3月14日基発150号)。 「労働者の意思に反して労働を強制」とは、不当な手段を用いることにより労働者の意識ある意思を抑圧し、その自由な発現を妨げ、労働すべく強要することをいい、必ずしも現実に労働することを要しない。いっぽう、詐欺の手段を用いられても、それは通常労働者は無意識の状態にあって意思を抑圧されるものではないから、必ずしもそれ自体としては本条に該当しない(昭和23年3月2日基発381号)。 労働基準法第5条の規定に違反した者に対しては、第117条において、労働基準法上最も重い法定刑が定められている。 労基法第5条違反の判例としては、広島地裁昭和26年5月1日及び名古屋地裁昭和25年9月13日などがあり、労働基準法第17条の前借金に絡む労働者の足留めや強制労働についてのものである。一方、強制労働の原因ともなる前借金や、労働することを条件とする前貸しの債権について、賃金との相殺を禁止した労働基準法第17条と関連した事件もある。
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