日本における学歴
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/07/07 03:39 UTC 版)
日本には国立の学費が出せない人や働きながら大卒資格を欲しい人が大卒資格を獲得できる放送大学が設置されている。放送大学は大学卒業までの総授業料が70万6千円であり、国立大平均の3分の1以下である。開学当初には入学者の約7割は高卒者であり、大学資格獲得の機会を保障するセーフティーネットとしての役割を果たしてきた。 筑波大学の後藤嘉宏教授によると、他国との比較統計から日本は他の国に比べ学歴による格差が小さく、学歴の重要度は他の国に比べ小さいとしている。また青少年自身も学歴に実利的なメリットをそれほど感じていないという調査結果がある。そもそも日本は年功序列が強く、一流大学卒でも若手の給料が安いと言われている。しかし一流大学卒は大企業で昇給が大きいので、生涯賃金は高くなる。 後藤によると「日本は学歴社会だ」というのは神話にすぎない。むしろそのような神話があったことによって、社会階層の再生産化(つまり社会階層が固定化してしまうこと)が起きている、という。“誰でも努力すれば、良い教育を受けられるし、いい学歴を得れば誰でも良い職業を得られる” などという考えは神話にすぎない、事実ではないという。実際には、高学歴の親を持つ子が高学歴となり、学歴が低い親を持つと子は学歴が低くなってしまう傾向があるという不平等が実際にあるにもかかわらず、神話によってそうした現実が隠蔽されてしまっていたのである。また「学歴によって生まれ変われる(階級を超えられる)」などとする神話は、あくまでブルーカラーからホワイトカラーへの移動について妥当なだけで、学歴ではその先のホワイトカラー同士の階層、ミドル階層と資本家(経営者)階層の間の社会階層差は乗り越えることができないと後藤は指摘している。 日本では就職・転職時に用いられる履歴書に学歴欄があり、学歴を記入するのが原則となっている。中途採用などでの経験者採用の場合、応募者は一般に履歴書と職務経歴書を用意し応募するが、学歴は履歴書のほうに記入し、職務経歴書のほうには原則的に学歴は書かない。厚生労働省設置法23条に基づき設置される公共職業安定所の求職申込書等においても学歴欄がある。 社会のリーダーを輩出してきた旧帝大や東京近郊の難関大学群と、それ以外の大学での差は就職実績を見ても歴然としており、地方の中堅以下の大学では一流企業の本社・研究所採用など、社会的ステータスの高いポストに就くことは極めて難しい。
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