日本におけるうつ病治療の現状
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/05/31 07:53 UTC 版)
「うつ病」の記事における「日本におけるうつ病治療の現状」の解説
「日本の精神保健」も参照 2012年の日本うつ病学会のガイドラインには、薬を飲んで休んでいればいいというような説明では、患者側の積極的な治療への参加が放棄されることもあり、生活上の工夫やリハビリについての説明も必要であるとされる。 心因が強く影響していると考えられるうつ病の場合、環境のストレスが大きい場合は調整可能かどうかを検討し、対応する。 厚生労働省老人保健課の『介護予防マニュアル』の「うつ予防・支援マニュアル」には、「休んで、薬をうまく利用する」ことである。 2010年の日本うつ病学会の提言では「薬物療法などの生物学的治療法と、精神療法などの心理学的治療法は車の両輪であり、両者がそろって初めて最適な治療となることは論を俟たない」と述べられている。 上記提言によると、日本で心理療法が十分に行われていない理由としては、 認知行動療法ができる心理専門職の不足 患者数の著しい増加により、一人の患者に十分な時間がかけにくい 薬物療法が進歩した結果、患者・医師双方にとって複雑、時に難解で時間のかかる精神療法を行わなくても、薬の服用のみで十分という風潮が生じている 薬物療法に比べて、精神療法の有効性についてのデータが相対的に少なく、積極的な精神療法への動機付けが乏しい などが挙げられ、その対策として、人材不足の解消、心理職の国家資格化、保険診療化などを提唱している。 2014年のOECDによる日本の医療の質についてのレビューでは、日本は「専門家及び地域社会双方による精神保健医療福祉サービスにおいて、不適切な薬剤使用(行き過ぎた多剤投与)を削減し、診療報酬を通じて代替的治療法が適切に評価されるようにするために、一層の努力が必要である」と勧告されている。そのためOECDは日本に対し、軽中程度の患者に対しては心理療法(認知行動療法など)を中心とした治療を提供できるよう、根拠に基づいた治療プログラムの整備を進めるよう勧告し、その参考例としてイギリスの心理療法アクセス改善 (IAPT) プログラムを挙げている。 独立行政法人高齢・障害・求職者雇用支援機構では、リワーク支援(職業リハビリテーション)を実施している。ストレスへの対処法(認知行動療法の一部)、リハビリ出勤、会社との調整など実施している。
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