新品種の開発と実用化
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/08/25 14:25 UTC 版)
「ルビーロマン」の記事における「新品種の開発と実用化」の解説
石川県は能登地方南部から加賀地方にかけて日本海に沿って長い砂浜海岸が発達している。このため砂丘特産の農産物であるスイカ、ダイコン、カキ、ブドウなどの生産が盛んである。ブドウ栽培ではデラウェアなどの小粒品種が2004年(平成16年)で73%を占めており、巨峰などの大粒品種は少ない。これは石川県の夏季の温暖な気候により大粒品種では果粒の破裂や色付き不良などを起こしやすいためであるとされる。しかし、消費者は食べやすく、より高級感のある大粒なブドウを好む傾向が強まっているとして、ブドウ栽培農家から要望を受けた石川県が品質と栽培性ともに優れた赤色大粒品種の開発に取り組むこととなった。 開発に当たった石川県農業総合研究センターの砂丘地農業試験場(かほく市)では、1995年(平成7年)に黒色大粒品種の「藤みのり」の自然交雑種子約400粒を播種し、このうち40個の苗を圃場に定植。1997年(平成9年)から生育状態や果実の品質をもとに選抜を開始し、2002年(平成14年)に果皮が赤色で食味が有望な1個体(ブドウ石川1号)が選ばれた。ブドウ石川1号は、その後の試験で、短楕円形の果粒の重さは平均21.6gと「藤みのり」や「安芸クイーン」の約1.5倍になること、果皮は鮮やかな赤色で、はがれやすく、果肉は白色で軟らかであること、果汁の糖度は20%前後で「藤みのり」より高く、酸味は少ないこと、収穫は雨よけ施設栽培で8月下旬から9月中旬、密閉施設栽培で8月の旧盆前後に可能であることなどが分かった。これらの結果を踏まえ、2005年(平成17年)3月に種苗法に基づく品種登録の申請がされ、2007年(平成19年)3月に新たな品種として登録された。2005年(平成17年)からは石川県内5地域で現地実証試験が始められ、砂丘地農業試験場では人工授粉、摘粒・摘房、土壌改良、水分管理など安定栽培技術を確立するための研究が行われた。 2020年には、開空率を測定して商品化率を高めるスマートフォンアプリが開発された。2019年からエイブルコンピュータ(金沢市)が開発し、生産者の半数が使用している。
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