きょうくんしょう〔ケウクンセウ〕【教訓抄】
教訓抄〈巻第十/〉
主名称: | 教訓抄〈巻第十/〉 |
指定番号: | 2212 |
枝番: | 00 |
指定年月日: | 1969.06.20(昭和44.06.20) |
国宝重文区分: | 重要文化財 |
部門・種別: | 書跡・典籍 |
ト書: | 文保元年八月豊原兼秋書写奥書/紙背応永元年七月十日豊原量秋追記当道相伝事 |
員数: | 1巻 |
時代区分: | 鎌倉 |
年代: | 1317 |
検索年代: | |
解説文: | 「教訓抄」(十巻)は鎌倉時代狛近真【こまのちかざね】が著わしたわが国最古の舞楽書。楽曲や楽器の由来・奏法・逸話などを蒐録してあり、雅楽研究上重要な典籍となっている。本巻は巻第十の打物案譜法を書写したもので、大鼓・鉦鼓・楷鼓などの譜や奏法・口伝等が記されている。書写年代は鎌倉後期の文保元年(一三一七)で、筆者の豊原兼秋は後醍醐天皇の笙師であった。紙背には豊原家相伝の荒序舞の古記録二種の抄記や応永元年豊原量秋【かずあき】追記の当道相伝事などがある。雅楽書の古写本として注目されるものである。 |
教訓抄
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2025/01/03 16:03 UTC 版)
『教訓抄』(きょうくんしょう)とは、日本中世の楽書。興福寺の雅楽家狛近真によって撰述された。豊原統秋の『體源抄』、安倍季尚の『楽家録』と共に三代楽書と呼ばれる。
概要
「歌舞口伝」5巻と「伶楽口伝」5巻を合わせた10巻より構成され、雅楽の口伝を体系的に集成する。治承・寿永の乱、承久の乱を経て、公家社会から武家社会に変容する激動の時代の中、雅楽の口伝の絶えることを憂い、後世に伝えることを企図した近真によって起筆され、1233年(天福 元年)に成立した。後世の雅楽の模範となる書物となり、後、本書を基に近真の孫狛朝葛によって『続教訓抄』が著された他、『體源抄』などの楽書にも影響を与え、総合的な楽書の先駆となった。高野辰之蔵本、東京音楽学校蔵旧阿波国文庫本、東北大学蔵本などを土台に、山田孝雄が校合したものが『日本古典全集』2巻に収録され、『続群書類従』に翻刻されている他、内閣文庫蔵本、神田喜一郎旧蔵本を底本とした翻刻が『日本思想大系』に収録される。
各巻の構成
1巻から3巻までは、左舞の楽家である狛家に伝承された舞曲の作法、由来、関連するエピソードが記述される。4巻「他家相伝舞曲物語」は文字通り他家に伝承する舞曲に言及し、伎楽の指針についても記述する。
「高麗曲物語」という題目の5巻は、右舞に関する記述が中心。左舞の家である狛家にとって右舞は専門外だが、右舞の作法、由来、装束に関する豊富な記述が緻密に綴られている。6巻「無舞曲楽物語」は管弦の楽曲に関する解説で、六調子に分割される。
7巻「舞曲源物語」は、一区切りごとの所作を表した「舞曲名目」、舞台への登壇方法、番舞など、実演に関する記述が中心となる。8巻「管弦物語」、9巻「打物部口伝物語」、10巻「打物案譜法」は、楽器についての口伝、故事や演奏法を記す。
参考文献
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