政策上の課題
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/07/18 06:50 UTC 版)
臓器をどのようにレシピエントに割り当てるのかという点もまた物議を醸す課題となっている[要検証 – ノート]。例えば、再発の恐れがあるアルコール依存症に肝臓を与えるべきではないと考える人もいれば、アルコール依存症は糖尿病のような病状だと見なす人もいる[要出典]。医療システムを信用することは、臓器提供の成功にとって重要である。 ブラジルはオプトアウト方式に切り替えたが、既に国の医療システムに不信を抱いていた患者をさらに疎外したため、最終的にはその撤回を余儀なくされた。潤沢な資金、移植の転帰改善を理解する強い政治的意志、専門的な訓練、介護、施設の存在も提供率を高める。スペインで使っているような死の広範な法的定義も、臓器がまだ良好状態にある早期段階で医師に患者の死亡宣告を下せるようにすることで、適格なドナーの貯蔵を増やしている。臓器に対する金銭払いを許可または禁止することは、臓器の活用度に影響に影響を及ぼす。一般的に、臓器売買できない場合だと品質や安全性は高いものの、供給は需要に対して十分ではなくなる。 臓器を購入できる場合だと供給量は増加する。 イランは1988年に腎臓ドナーへの金銭払いシステムを採用し、11年以内に移植の待機リストをゼロにした世界唯一の国となった。 —英「エコノミスト」紙 健康な人間には腎臓が2つあり、生体ドナーが(生存者間で)必要とする人に腎臓を提供することが可能な余剰臓器である。 最も一般的な移植は近親者へのものだが、人々は他の友人にも腎臓を提供している。最も稀なタイプの提供は、ドナーが見ず知らずの人に腎臓を提供する無指向の提供である。 このような腎臓の提供は数百件に満たない。近年では、インターネットを通して利他的なドナーを検索することも、救命の臓器を見つける方法となっている。しかし、従来のリストを基本とする割り当てシステムを崩壊させてしまうと考える学識者もいるので、臓器に対するインターネット広告は非常に物議を醸す行動となる。 スペインの国立移植機構は世界で最も成功している組織の1つである(スペインは何十年にもわたって臓器提供の世界一位である)。それでも、移植を必要とする人の10%が移植リスト掲載期間に死去しており、いまだ需要を満たせてはいない。死体からの提供は匿名で、通信と輸送のネットワークが国じゅうでの迅速な摘出と移植を可能にしている。スペインの法律下では、故人が(生前に)明示的に拒否していた場合を除き、全ての死体が臓器提供可能となる。それでも遺族は提供を中止できるので、訓練を受けた医師が慎重に許可を遺族を求めており、実際にはアメリカのシステムと非常によく似ている。 圧倒的に多いケースとして、レシピエントの安全面、適合の不能、臓器状態、といった理由で臓器提供は不可能になってしまう。世界で最も臓器提供率が高いスペインでさえ、実際には100万人あたりドナーは僅か35.1に過ぎず、待機リストには数百人の患者がいる。この比率は、滅多に家族が臓器提供を要求されないオーストリア(100万人あたり24.8)や、スペインと同じく推定的同意システムとなっているフランス(100万人あたり22.2)と大差はない。
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