排出ガス処理
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/05/06 05:53 UTC 版)
排出ガス処理技術は、できるだけ低温・低圧で燃焼させることでNOxの発生を少なく抑え、酸化触媒やDPFによりPM、CO、HCを処理する方法と、できるだけ高温で完全燃焼させることでCO、HCの生成を抑え、その結果増加するNOxを窒素に還元するNOx還元触媒の2つを併用する方法が主流。 NOx還元触媒に従来型の三元触媒から派生したものと、SCRと呼ばれるものの2つがある。また常時同じようにNOxを浄化する「尿素SCRシステム」と、リーン燃焼中にNOxを吸蔵し、リッチ燃焼以降に浄化作用を進める「吸蔵触媒」の2つがあり、それぞれ組み合わせられる。 そのほか、燃料の改質によりNOxを減らす構想があり、ジメチルエーテル混入、水エマルジョン燃料などの研究が舶用エンジンの分野を中心に進んでいるが、供給体制の整備や、使用者が補給を怠った場合の対策などの問題があり、実用化は進んでいない。 なお、NOxとPMの排出量は前述の通り二律背反であり、基本的に燃焼のセッティングによって多く排出される物質の処理に適した処理装置を搭載する方式が基本なのだが、使用状況などによってはメーカーの意図した通りの作用をしなくなってしまうこともある(たとえば、尿素SCRシステムを採用した車両において、何らかの理由で燃焼が低温もしくは低圧になってしまい黒煙を多く排出することがある。逆に、DPFを装備した車種において、メーカーの想定以上の低温・低圧などによりPMがDPFの処理能力以上に排出され燃料が原因ではないフィルターの目詰まりを引き起こすことがある)。また、後述のようにDPFの強制再生は燃料の消費が多く(=燃費が悪い)、尿素SCRシステムでも構造上燃費の悪化は無視できるほどに小さくとも一方で尿素水の消費量はそのシステムを搭載することの多いトラック・バスにおいては莫大なものとなる。これらの事態を軽減するために2010年代に入りDPFと尿素SCRシステムを併用した浄化システムが普及しはじめた(例:ダイムラーグループが採用するBlueTec等)。併用する場合燃焼のセッティングを低温低圧または高温高圧の一方に振る必要がなく、またそれによりPMの発生量がDPFのみの車種のものより減ることで強制再生の機会が減り燃費が改善される。一方NOxの発生量も尿素SCRシステムのみの車種の場合よりは少ないため尿素水の消費も抑えることができる。
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