リー環の指数写像
(指数写像 から転送)
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2019/01/20 00:50 UTC 版)
ナビゲーションに移動 検索に移動群論 → リー群 リー群 |
---|
![]() |
|
物理学におけるリー群
|
|
リー群論において、指数写像(しすうしゃぞう、英: exponential map)は、リー群のリー環から局所的な群構造を取り出せるような、リー環からリー群への写像である。指数写像の存在はリー環のレベルでリー群を研究することの主要な正当性の1つである。
解析学の通常の指数関数は G が正の実数の乗法群(そのリー環は実数全体のなす加法群)のときの指数写像という特別な場合である。リー群の指数写像は通常の指数関数の性質と類似の多くの性質を満たすが、しかしながら、多くの重要な面において異なりもする。
定義
- とくに、群 G のリー群の随伴表現に適用すると、
関連項目
- en:List of exponential topics
- 指数写像の微分
参考文献
- Hazewinkel, Michiel, ed. (2001), “Exponential mapping”, Encyclopaedia of Mathematics, Springer, ISBN 978-1-55608-010-4
- Helgason, Sigurdur (2001), Differential geometry, Lie groups, and symmetric spaces, Graduate Studies in Mathematics, 34, Providence, R.I.: American Mathematical Society, ISBN 978-0-8218-2848-9, MR 1834454.
- Kobayashi, Shoshichi; Nomizu, Katsumi (1996), Foundations of Differential Geometry, Vol. 1 (New ed.), Wiley-Interscience, ISBN 0-471-15733-3.
指数写像
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/03/06 07:15 UTC 版)
詳細は「リー環の指数写像」を参照 複素行列の指数関数が常に正則行列であるということに注意する(eX の逆行列は e−X によって与えられる)。これは複素変数の指数関数が常に零でないことに対応する事実である。ゆえに、行列の指数関数はn × n 行列の全体の成す空間から n 次元の一般線型群(n × n の正則行列の群)への写像 exp : M n ( C ) → G L ( n , C ) {\displaystyle \exp \colon M_{n}(\mathbb {C} )\to \mathrm {GL} (n,\mathbb {C} )} を定めている。実は、この写像は全射、すなわちどんな正則行列も何らかの行列乗として書くことができる(ここで実数体 R でなく複素数体 C 上で考えることが本質的に利いてくる)。 任意の二つの行列 X と Y について ‖ e X + Y − e X ‖ ≤ ‖ Y ‖ e ‖ X ‖ e ‖ Y ‖ {\displaystyle \|e^{X+Y}-e^{X}\|\leq \|Y\|e^{\|X\|}e^{\|Y\|}} が成り立つ。ここで || · || は任意の行列ノルムである。ここから、指数写像はコンパクト部分集合 Mn(C) 上で連続かつリプシッツ連続であることが従う。 写像 t ↦ e t X ( t ∈ R ) {\displaystyle t\mapsto e^{tX}\quad (t\in \mathbb {R} )} は t = 0 で単位元を通る、一般線型群内の滑らかな曲線を定義する。実は e t X e s X = e ( t + s ) X {\displaystyle e^{tX}e^{sX}=e^{(t+s)X}} が成り立つから、これらは一般線型群の1パラメータ部分群(英語版)を与えている。 この曲線の t 上の微分係数(あるいは接ベクトル)は d d t e t X = X e t X = e t X X {\displaystyle {\frac {d}{dt}}e^{tX}=Xe^{tX}=e^{tX}X} (1) で与えられる。t = 0 での微分係数はまさに行列 X であり、これはつまり X がこの一径数部分群を生成することを示している。 より一般に、t に依存する生成的指数 X(t) に対して d d t e X ( t ) = ∫ 0 1 e α X ( t ) d X ( t ) d t e ( 1 − α ) X ( t ) d α {\displaystyle {\frac {d}{dt}}e^{X(t)}=\int _{0}^{1}e^{\alpha X(t)}{\frac {dX(t)}{dt}}e^{(1-\alpha )X(t)}\,d\alpha } となる。右辺の eX(t) を積分記号の外へ出して、残った被積分関数をアダマールの補題を使って展開すれば、以下の有用な行列乗の微分係数の表示 ( d d t e X ( t ) ) e − X ( t ) = d d t X ( t ) + 1 2 ! [ X ( t ) , d d t X ( t ) ] + 1 3 ! [ X ( t ) , [ X ( t ) , d d t X ( t ) ] ] + ⋯ {\displaystyle \left({\frac {d}{dt}}e^{X(t)}\right)e^{-X(t)}={\frac {d}{dt}}X(t)+{\frac {1}{2!}}[X(t),{\frac {d}{dt}}X(t)]+{\frac {1}{3!}}[X(t),[X(t),{\frac {d}{dt}}X(t)]]+\dotsb } が得られる。この式における係数はもとの指数函数の成分に現れているものとは異なることに注意せよ。また閉じた形の式は指数写像の微分(英語版)を参照。
※この「指数写像」の解説は、「行列指数関数」の解説の一部です。
「指数写像」を含む「行列指数関数」の記事については、「行列指数関数」の概要を参照ください。
- 指数写像のページへのリンク