指定緊急避難場所とは? わかりやすく解説

Weblio 辞書 > 辞書・百科事典 > デジタル大辞泉 > 指定緊急避難場所の意味・解説 

してい‐きんきゅうひなんばしょ〔‐キンキフヒナンバシヨ〕【指定緊急避難場所】

読み方:していきんきゅうひなんばしょ

切迫した災害の危険から命を守るために避難する場所。災害対策基本法基づいて洪水津波など災害の種類ごとに一定の基準満たす施設または場所を市町村長があらかじめ指定する。→指定避難所


避難場所

(指定緊急避難場所 から転送)

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2025/04/24 19:13 UTC 版)

自然災害での屋外避難場所を示すシンボル(ISO 7010の安全標識)

避難場所・指定緊急避難場所(ひなんばしょ・していきんきゅうひなんばしょ)とは、地方自治体が指定した災害を避けることができる施設・場所のことを示す。
2013年(平成25年)の災害対策基本法の改正にて、災害種別ごとの緊急の避難場所である「指定緊急避難場所」と、一定期間滞在して避難生活ができる「指定避難所」の規定を設けた。[1]

本稿では特に指定が無い限り、日本国内の指定緊急避難場所について解説する。

概要

災害対策基本法では、「津波、洪水による危険が切迫した状況において、住民等の生命の安全の確保を目的に、緊急に住民が避難する施設や場所」として、指定緊急避難場所が位置付けられている。また、避難所と避難場所は相互に兼ねることができる(災害対策基本法 第四十九条の八)
指定避難所 、指定緊急避難場所、指定福祉避難所 の規定は、市町村条例に特別な規定がないかぎり、基準規定としては下記のようになる。

法で規定された名称

災害種別に限らず指定、一定期間滞在して避難生活ができる(災害対策基本法 第四十九条の七)
災害種別ごとに指定、災害の危険から命を守るために緊急的に避難をする場所[2]。(災害対策基本法 第四十九条の四)
避難行動要支援者(要配慮者)のための避難所(災害対策基本法による避難所の指定基準の一つとして、災害対策基本法施行令に規定)
津波緊急避難所を示す標識
避難場所案内板
東京都新宿区
ISO 7010で避難集合場所を知らせるピクトグラム

避難所と避難場所の違い

2011年(平成23年)の東日本大震災の発災前までは、「避難場所」と「避難所」が明確に区別されておらず、また、災害の種別ごとに避難場所が指定されていなかったため、避難場所に逃れたもののその施設に津波が襲来して多数の犠牲者が発生したことから、2013年(平成25年)の災害対策基本法の改正にて、災害種別ごとに指定し緊急の避難場所である「指定緊急避難場所」と、災害種別に限らず指定が行われ一定期間滞在して避難生活ができる「指定避難所」を区別し規定を設けた[3]
尚、指定緊急避難場所と指定避難所は、相互に兼ねることができる。

災害の種別ごとの避難場所

指定緊急避難場所は、発生する災害(火災・風水害・津波・高潮など)の種類ごとに指定されている[4][5][6]

指定の例(例)
  • 地震:公園、大規模な広場
  • 火災:耐火性のある頑丈な建物
  • 津波:高台や津波浸水区域外の頑丈な建物
  • 水害:浸水想定区域外の頑丈な建物
  • 土砂災害:崖から離れた土砂災害警戒区域外の頑丈な建物
  • 帰宅困難者:民間連携[注釈 1][7][8]

自主避難所として利用

台風の接近などで洪水土砂災害などの災害が発生する恐れがあり、自治体警戒レベル発令の前に、自主防災組織が地区の避難を希望する人のために、町内会や自治会が管理する公民館などの指定緊急避難場所を一時的に開設する避難所。
避難行動要支援者にとって、警戒レベル発令後の避難行動が容易ではない場合などを想定し、警戒レベル発令前の行動を地区防災計画で地域特性に合わせて盛り込まれる。避難後の食糧・備蓄品等は警戒レベル発令前のため、避難者自身が自主的に用意する(自助)[9]

指定緊急避難場所の課題

  • 周知不足:外国人住民への周知不足
  • 自治体ごとの指定に差:公園や広場がない地域
  • 安全性への疑問
  • 避難行動要支援者(要援護者・要配慮者・要支援者)への対応
  • 避難時の混乱
  • 交通渋滞
  • 発災後の情報不足・情報共有

帰宅困難者への支援

帰宅困難者への対策として、一時的に帰宅困難者を受け入れる一時滞在施設が各自治体により指定されている。また東京など首都圏では、徒歩で帰宅する者を支援するためにトイレや水の提供などに協力する帰宅支援ステーションの制度があり、コンビニ、ファーストフード店・ファミリーレストラン等の飲食店、ガソリンスタンドなどの企業と協定が結ばれている[10]

避難訓練

指定緊急避難場所への迅速な避難、避難所へ円滑な移動など、災害時の適切な避難行動を可能とするためには、普段から市町村(公助)と自主防災組織(共助)、地区住民(自助)が一体となって防災マップ等の作成を行うほか、各種防災訓練・防災教育等を通じて、地区の住民に対し、指定緊急避難場所等の趣旨、所在地情報、地域において想定される災害リスク等の周知徹底を行うなど、避難行動の定着に努めることが重要である[11]
地区の住民は、自主防災組織の主導のもと、自分たちがいつ、どのタイミングで避難するのか、災害に備えて自分自身がとるべき防災行動をあらかじめ時系列的に整理したマイ・タイムライン(防災行動計画)を作成し、避難スイッチ(行動スイッチ)を考えておくことも重要である[12][13]
代表的な取り組みは、マイ・タイムラインの作成のほか、避難行動要支援者の避難を盛り込んだ災害図上訓練DIG、避難所HUG(風水害バージョン)、災害対応カードゲーム教材「クロスロード」などがある[14][15][注釈 2]

関連項目

  • 避難所 - 指定避難所
  • 自主防災組織 - 指定避難所、指定緊急避難場所の運営に関わる住民組織
  • 地区防災計画 - 地区の住民が作成する防災計画
  • 避難訓練 - 緊急的に避難をする訓練。
  • 防災訓練 - 災害予防及び減災対策等の訓練。
  • ハザードマップ - 災害による被害を予測し、被害範囲を地図化したもの
  • 帰宅困難者 - 災害に遭遇し、自宅への帰還が困難になった者
  • 避難経路 - 避難に際して使用される道筋
  • 収容避難場所 - 災害対策基本法改正前の古い用語。現在の指定緊急避難場所と指定避難所の両方を示す。
  • 一時避難場所 - 災害対策基本法改正前の古い用語。現在の指定緊急避難場所

関連書籍

脚注

注釈

  1. ^ 指定避難所が指定緊急避難場所として開放される場合もある。
  2. ^ 避難所HUG(風水害バージョン)には、風水害の時の避難先には指定緊急避難場所である集会所や公民館が避難先となる例が多いことから公民館の図面が用意されている。

出典

外部リンク



指定緊急避難場所

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/03/05 03:24 UTC 版)

避難所」の記事における「指定緊急避難場所」の解説

指定緊急避難場所は、災害発生し、又は発生するおそれがある場合にその危険から逃れるための避難場所として、洪水津波など異常な現象種類ごとに安全性等の一定の基準満たす施設又は場所を市町村長指定する災害対策基本法49条の4)。 ひとまず危険を回避するための場所であり、災害に対して一定の安全性がある頑丈な建物や、危険が及ばない考えられる開けた場所グラウンド駐車場など)が指定されている。地震津波土砂災害洪水など災害の種類ごとに適した場所が異なり例え土砂災害火事に対して適しているが洪水津波場合浸水恐れがあるため不可というような場所がある。

※この「指定緊急避難場所」の解説は、「避難所」の解説の一部です。
「指定緊急避難場所」を含む「避難所」の記事については、「避難所」の概要を参照ください。

ウィキペディア小見出し辞書の「指定緊急避難場所」の項目はプログラムで機械的に意味や本文を生成しているため、不適切な項目が含まれていることもあります。ご了承くださいませ。 お問い合わせ


英和和英テキスト翻訳>> Weblio翻訳
英語⇒日本語日本語⇒英語
  

辞書ショートカット

すべての辞書の索引

「指定緊急避難場所」の関連用語

指定緊急避難場所のお隣キーワード
検索ランキング

   

英語⇒日本語
日本語⇒英語
   



指定緊急避難場所のページの著作権
Weblio 辞書 情報提供元は 参加元一覧 にて確認できます。

   
デジタル大辞泉デジタル大辞泉
(C)Shogakukan Inc.
株式会社 小学館
ウィキペディアウィキペディア
All text is available under the terms of the GNU Free Documentation License.
この記事は、ウィキペディアの避難場所 (改訂履歴)の記事を複製、再配布したものにあたり、GNU Free Documentation Licenseというライセンスの下で提供されています。 Weblio辞書に掲載されているウィキペディアの記事も、全てGNU Free Documentation Licenseの元に提供されております。
ウィキペディアウィキペディア
Text is available under GNU Free Documentation License (GFDL).
Weblio辞書に掲載されている「ウィキペディア小見出し辞書」の記事は、Wikipediaの避難所 (改訂履歴)の記事を複製、再配布したものにあたり、GNU Free Documentation Licenseというライセンスの下で提供されています。

©2025 GRAS Group, Inc.RSS