恒星の進化に関する情報
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2020/07/24 04:37 UTC 版)
「プレソーラー粒子」の記事における「恒星の進化に関する情報」の解説
プレソーラー粒子の研究は、元素合成と恒星の進化についての情報を提供する。「r過程」(急速中性子捕獲)およびアルファ反応(アルファ捕獲)タイプの元素合成の同位体特性を持つ粒子は、 超新星爆発モデルの検証に有用である。 たとえば、一部のプレソーラー粒子(超新星由来)には、カルシウム44が含まれているが、これは通常はカルシウムの存在量の2%程度しか含まれていない安定同位体である。 いくつかのプレソーラー粒子中のカルシウムは主にカルシウム44で構成されており、これはおそらく、超新星爆発前にケイ素28によって4個のα粒子が急速に捕獲された後にSN 1987AのようなII型超新星爆発で大量に生成された消滅放射性核種チタン44の残骸であろう。ただし、チタン44の半減期は59年しかないため、すぐに完全にカルシウム-44に変換されてしまう。また、寿命は長いが消滅核種であるカルシウム41(半減期35万年)とアルミニウム26(半減期73万年)の崩壊生成物も過剰に検出されている。これらの粒子のr過程の同位体異常には、窒素14および酸素18の太陽系内での相対的な過剰と、中性子に富む安定核種カルシウム42とチタン49の過剰も含まれる。 その他のプレソーラー粒子(漸近巨星分枝星由来)は、銀河系の中で鉄よりも軽い難揮発性元素の大部分を製造した漸近巨星分枝の同位体組成と物理的情報をもたらす。これらの粒子に含まれる元素は、初期の天の川銀河において異なる時期(および場所)で作られたため、集められた粒子のセットは、太陽系形成以前の銀河の形成と進化についての洞察をさらに深めることができる。 粒子の元素の元素合成に関する情報を提供することに加えて、固体粒子は、それらが凝縮した物理化学的条件、およびそれらの形成後のイベントに関する情報を提供する。たとえば、天の川銀河の炭素の多くを生成している赤色巨星について考えてみる。赤色巨星の大気は、凝縮プロセスが行われるのに十分に冷たく、その結果、固体粒子(炭素などの元素の複数の原子の凝集体)が大気に析出する。これは、高温で原子がより複雑な分子を形成するのに適していない太陽の大気とは異なる。これらの固体の断片は、 放射圧によって星間物質に注入される。 したがって、恒星内元素合成の特徴を持つ粒子は、(i)赤色巨星の大気における凝縮過程、(ii) 星間物質の放射および加熱過程、および(iii)私たちを作っている元素を、銀河を横断して太陽系に運んできた粒子の種類についての情報を提供する。
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