恒星の特徴
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/03/14 14:33 UTC 版)
「TRAPPIST-1」の記事における「恒星の特徴」の解説
TRAPPIST-1は、スペクトル分類がM8.0 ± 0.5型の赤色矮星で、質量は太陽の約9%、半径は約12%しかない。木星と比較すると半径はわずかに大きい程度だが、質量は約84倍になる。高解像度の光学分光法ではTRAPPIST-1からリチウムの存在を検出することができなかった。これはTRAPPIST-1が非常に低質量の主系列星であることを意味しており、非常に若い褐色矮星ではなく水素による核融合反応を起こしている赤色矮星であることを示唆している。表面温度は2,511 K(2,238 ℃)と赤色矮星の中でも極めて低く、超低温矮星 (Ultra-cool dwarf) といった表現も用いられる。年齢は76 ± 22億年と見積もられている。これと比較して、太陽の表面温度は5,778 K(5,505 ℃)、年齢は約46億年である。ケプラー宇宙望遠鏡の延長ミッションである「K2ミッション」での合計79日間に及ぶTRAPPIST-1の観測で、1日あたり約0.38回という低頻度(恒星活動が活発なスペクトル分類M6 - M9型の赤色矮星と比べると30分の1の頻度)で弱い光学フレアが発生していることが明らかになった。一方で、観測期間の終了直前に単一の強いフレアが発生したことも観測されている。このフレアは、周囲を公転する惑星の大気を定期的に変化させている可能性があり、その場合、惑星表面において生命体の存在にはあまり適さなくなる。TRAPPIST-1の自転周期は約3.3日とされている。 TRAPPIST-1の高解像度スペックル・イメージング画像から、褐色矮星と同等かそれ以上の明るさを持つ伴星は存在しないことが明らかになっている。TRAPPIST-1が単独の恒星ということは、算出された周囲の惑星のトランジット減光率からその惑星の真の大きさを求められるということであり、これによりTRAPPIST-1の周りにある惑星が実際に地球サイズであることが証明された。 TRAPPIST-1のような超低温矮星は最長で12兆年という長大な寿命を持つと考えられている。金属量 [Fe/H] は0.04で、これは金属量が太陽の1.096倍であることを意味している。光度は太陽の0.05%しかなく、そのほとんどは赤外線として放出される。見かけの等級は18.80等級で、肉眼で観望することはできない。
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