引退回避の可能性に関する報道
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/04/02 17:29 UTC 版)
「熊坂学」の記事における「引退回避の可能性に関する報道」の解説
熊坂は2014年2月25日の第64回NHK杯将棋トーナメント予選から、フリークラス在籍期限である2015年3月31日までの間、公式戦30局で18勝12敗の成績を収めていた。前述の通りこの時点ではC級2組昇級に必要な成績に達しておらず、4月1日に引退が発表された。しかし、仮にそこから5連勝して直近35局の成績を23勝12敗(勝率.657)としていれば、数字の上ではC級2組昇級規定「良い所取りで、30局以上の勝率が6割5分以上」を満たしていたことになる。引退発表後であってもこの昇級規定によるC級2組復帰、そして現役続行が可能であるかが焦点となるが、この前後の産経新聞と読売新聞の記事において、5連勝すれば引退が回避できると解釈できる報道がなされた。 そもそも、C級2組から陥落したフリークラス棋士の引退規定は「陥落後10年以内にC級2組に昇級できないと引退になります。」とされている。しかし、毎年度後半に予選が開始する棋戦(竜王戦・棋王戦・王将戦・NHK杯など)で勝ち残った場合、各年度末に引退が内定した後、翌年度にも対局が組まれる場合がある。当該対局を欠場扱い(不戦敗)とすると棋戦運用上不都合が生じたため、日本将棋連盟は2010年に棋士の引退日付を「引退が決まった年度に勝ち残っていた棋戦の最終対局日」に変更していた。 熊坂が2014年度末に引退が決まった際も、4月以降に竜王戦6組昇級者決定戦が組まれており、規定によれば引退日は昇級者決定戦で敗退した対局の日付となる。そのため、2015年4月1日付の日本将棋連盟ウェブサイトのリリースでは引退棋士の一覧に熊坂が含まれていたものの、引退日・最終対局日は「未定」とされていた。 熊坂が竜王戦6組ランキング戦で敗退したことを受け、産経新聞の記事(2015年3月23日)は「C級2組復帰条件の一つ、勝率6割5分以上に手が届く所まで来ているが、19日の竜王戦6組ランキング戦に敗れ、今後5連勝が必要となった。」としている。年度内に5局対局することは現実的ではなく、実際に対局は組まれなかった。つまり「年度内に5連勝」は事実上不可能であり、また記事の見出しが「現役続行へ試練の戦い」と現役続行の可能性があることを示唆していることから、この記事は「年度を跨いだ5連勝」であっても引退が回避できるという見方をとっていると解釈できる。このほか、将棋ライター・観戦記者の君島俊介は同日のツイートで、年度を跨いで昇級規定を満たしても「問題ない」と解説している。 また、引退リリース翌日の4月2日、読売新聞は将棋欄で2014年度の引退者について言及するなかで「対局があれば最終対局日で引退。ただし熊坂は竜王戦で5連勝すればフリークラス返上、現役続行となる。」と明言した。一方で当時現役棋士だった田丸昇は2015年5月25日付のブログで「順位戦の復帰規定も竜王戦限定の現役続行規定も、フリークラス降級後10年が経過して引退が内定した時点の成績のみが対象となり、熊坂のケースも仮に引退内定後に5連勝したとしても翌期順位戦には復帰できず正式に引退となる」旨を明言していた。
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