年代および史実
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/09/21 14:22 UTC 版)
「ハミルトン (ミュージカル)」の記事における「年代および史実」の解説
『ハミルトン』は史実および実在した人物を基に制作されているが、ミランダは物語を語る上で劇的に表現している場合もあると語っている。例えばアンジェリカがハミルトンと強い絆で結ばれているというのは誇張である。使用楽曲『Satisfied』においてアンジェリカは両親には自分を含めて娘しかおらず、社会的地位を上げるには富裕層との結婚が必要として、ハミルトンを好きだが合わないと語る。実際にはフィリップ・スカイラーにはニューヨーク州下院議員となるフィリップ・ジェレミア・スカイラーら2人息子を含む15人の子がおり、アンジェリカはハミルトンと出会う3年前に姉妹の結婚式でジョン・バーカー・チャーチと駆け落ちしており、この時すでにチャーチとの二児の母であった。ミランダはよりドラマティックにするため変更したと語った。 第1幕において、ハミルトンの人生におけるバーの役割も誇張されており、ハミルトンとバーの初期の交流はフィクションである。モンマスの戦いにバーが登場し、使用楽曲『"Ten Duel Commandments"』でジョン・ローレンスと決闘するチャールズ・リー将軍の介添人を務めたことになっているが実際はバーではなくエヴァン・エドワーズが務めた。また実際とは違い、使用楽曲『"Non-Stop"』においてハミルトンは『ザ・フェデラリスト』執筆の支援のためバーに接近している。 第1幕において、アーロン・バーは「マーサ・ワシントンは雄猫(tomcat)に「ハミルトン」と名付けた」と語り、ハミルトンは「その通り」と応えている。しかし事実は異なる。20世紀前半まで辞書に「tomcat」がプレイボーイとしての意味を持つことが記されなかったにも関わらず、何世紀にも亘りハミルトンは浮気者として繰り返し誤って描かれている。「tomcat」にまつわる話は作家スティーブン・ノットが描くまで登場せず、2016年、キーン大学リバティ・ホールで行なわれたイベント「CelebrateHAMILTON」の一環として Alexander Hamilton Awareness Society主催の『"Alexander Hamilton Discoveries and Findings"』で歴史家で作家のマイケルEニュートンにで反論されている。 第2幕において、作品の時間制限および話の流れなどによりハミルトンの晩年について複数の差異がある。ジョン・アダムスとハミルトンの仲が良くないことは事実だが、『ハミルトン』で描かれているジョン・アダムズがハミルトンを解雇したという事実はない。アダムスが大統領に就任する2年前の1794年12月1日、ハミルトンは財務長官としての辞表を提出する。しかしハミルトンはワシントンと親しく交流を続け、政治分野に多大な影響を与える。また、ジェファーソン、マディソン、バーはハミルトンの浮気について関わったことがなく、実際に関わったのは1792年12月、ジェームズ・モンロー、フレデリック・ミューレンバーグ、エイブラハム・ヴェナブルである。モンローはジェファーソンと親しく、ハミルトンの浮気について話し合っていた。1797年夏、ジャーナリストのジェイムズ・キャレンダーはハミルトンの不貞記事を報じた。ハミルトンはモンローを責め口論となり仲違いしそうになった。ハミルトンは『The Reynolds Pamphlet』を発行する以外に方法がなかった。 使用楽曲『"Take a Break"』において、9歳のフィリップ・ハミルトンが「妹がいるけど本当は弟が欲しかった」と語る。実際には当時フィリップにはアレキサンダー・ハミルトン・ジュニアとジェイムズ・アレクサンダー・ハミルトンの2人の弟がいた。また同曲において、アンジェリカが夏にヨーロッパからアメリカに戻るという手紙をハミルトンに送るが、実際はそのような手紙は存在せずアンジェリカは自宅に残っていた。 使用楽曲『"Blow Us All Away"』において、1800年アメリカ合衆国大統領選挙の前にジョージ・イーカーとフィリップ・ハミルトンが決闘する。実際は1801年に決闘が行なわれ、11月24日にフィリップが亡くなる。曲中、イーカーは7カウントでフィリップを撃つが、実際はお互い1分以上撃たず、最終的にイーカーがフィリップの腰を撃った。 バーとハミルトンが決闘したのは1800年アメリカ合衆国大統領選挙が原因ではない。バーはジェファーソン大統領の副大統領となったが、1804年アメリカ合衆国大統領選挙では再選をかけたジェファーソンがバーを指名せず、バーはニューヨーク州知事に立候補することを決めた。しかしバーはモーガン・ルイスに完敗した。その後、チャールズ・クーパーからフィリップに宛て『The Albany Register』を通じ、ハミルトンがバーを「政治を任せるべきではない危険な男」と呼んだとし、「ハミルトン将軍はバー氏について、より見下した意見を語っていた」と記した。これらは使用楽曲『"Your Obedient Servant"』の中でバーとハミルトンの間での手紙として表現されている。
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