平安時代の「洛」=「洛陽」と「長安」とは? わかりやすく解説

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平安時代の「洛」=「洛陽」と「長安」

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/05/15 01:09 UTC 版)

洛中」の記事における「平安時代の「洛」=「洛陽」と「長安」」の解説

古く平安京域内指して京中」と呼んだが、鎌倉初期から京中に代わって「洛中」の語が頻出するうになる。この「洛」は「洛陽」の一字を採ったもので、後の京都基礎となった左京中国の都「洛陽」に擬え対して右京朱雀大路から西側部分)を同じく長安」と呼んだとされ、後に右京廃れたことから、市内実質的に左京)を洛中らくちゅう)、外側辺土、後に洛外らくがい)と呼ぶようになったとされる洛陽長安左京右京分けて使ったとする説は、今のところ平安遷都から500年経た鎌倉時代末期頃に洞院公賢によって書かれた『拾芥抄』の「京都坊名」の項に「東京洛陽城西京長安城」と付記されているのが、最も古い。この「左京洛陽右京長安」説はこれ以降さまざまの著書引用されそのことから「洛中とは左京のこと」との主張生まれて、現在ではあたかも定説になった感がある。 これに対し平安時代文献からの疑問もある。平安時代文学では左京右京問わず平安京を「洛陽」あるいは「長安城」と呼んでおり、例え平安中期詩文(「本朝文粋」「和漢朗詠集」など)に「洛陽」「長安城」あるいは「洛城」と現れるが、一つ詩文中に洛陽」と「長安」が併記される例は見当たらないからそれらがそれぞれ左京右京指したとは言えず、「城」をつけて呼んだところを見れば、共に「平安城」に代わる文学上の雅称として(つまり共に平安京全体を指す言葉として)使われたとするほうが自然である。また遷都間もなく洛陽長安の坊名を借りて名付けられたと考えられている「駝坊」「教業坊」「陶化坊」などの坊名も、必ずしも「左京洛陽」「右京長安」を示していない。その後も「左京洛陽右京長安」と称した事実平安期文献では確認できないから、洛陽長安区別は少し後、すでに「洛中」や「入洛」などの語が成立していた鎌倉時代以降のことと考えられる。また「小右記長和4年1016年6月25日条では西京右京)を「西洛」とも呼んでおり、やはりここでも右京含めた平安京全体指して洛陽呼んだことが伺える。平安末期辞典色葉字類抄』では「洛 ラク 又作雒 京也」と「洛とは京」と明確に定義付けるし、享徳3年(1454)の奥書を持つ『撮攘集』にも都の異名並べて京城 都 皇州 京帥 洛陽 長安 禁城 帝畿」と洛陽長安ともに都の意と記す。都を指して洛陽」という言い方早くから定着していたが、のちに右京廃れたことにより都の範囲狭まり実質的に京都洛陽)=左京」という状態になっていたから、対して詩文現れた「長安」を右京付会して、上記拾芥抄」の「左京洛陽右京長安」説が成立したとも考えられる。この考え方に立つと「洛中」が必ずしも左京域のみを指した語でなかったことになる。 以上、平安時代の諸文献に基けば、一般に信じられる平安初期に(施政者により)右京長安左京洛陽名付けられた」という説は真実とは言えず、鎌倉末期拾芥抄の「東京洛陽城西京長安城」の記述に基いて江戸時代広く流布した説と考えられる。したがって平安時代には「洛陽」(および「長安」)とは実質的にどうあれ全域指す呼称であって、それを語源とする「洛中」という言葉左京限らぬ全域指した言葉であったとすべきであろう

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