市、県、男子生徒らへの損害賠償請求
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/05/17 09:32 UTC 版)
「須賀川市第一中学柔道部暴行傷害事件」の記事における「市、県、男子生徒らへの損害賠償請求」の解説
2006年8月、女子生徒の両親らは市、県、男子生徒らに介護費用など約2億3000万円の損害賠償を求め提訴。2008年8月8日、福島地方裁判所郡山支部にて証人尋問が行われ、原告側から元部員2名、被告側から男子生徒が証言に立ち、女子生徒も傍聴が許可された。元部員は男子生徒が複数回投げたことを認め、引っ張られて行った女子生徒が意識を失ったと証言した。男子生徒も事故当初は投げたことを否定しその後1回投げたと証言していたが、複数回投げたことを認めた。その時の状況について頭から落としたことや壁に押し付けたことは否定したが、無視されてイライラしていたことは認めた。また男子生徒は、受け身のできていない女子生徒に乱取りの相手をさせたことについては何とも思っていないと答えている。裁判長から「日頃は柔道技をかけるような指導はしていなかったのに、なぜこの時はかけたのか」と問われ「言っても聞かなかったから。自分は間違っていなかった」と答え、手加減しなかったことも認めた。 11月7日に2回目の証人尋問が行われ、学校による調査で暴力があったと証言し教頭から恫喝された元部員が出廷した。原告側弁護士の質問に元部員は、最初の調査の場には男子生徒もいたため本当のことが言えなかった、二回目は教頭から聞かれ事実を話したところ、男子生徒が部活停止になると試合で勝てないと恫喝されたことを圧力と感じたと証言した。被告側弁護士の質問には、日頃から男子生徒に殴る蹴るなどのいじめを受けていたことを明かし、男子生徒は練習中に勝手に休んだり椅子に座って部員に指示を出していたと証言した。また男子生徒が日頃から女子生徒に暴力をふるっていたわけではないとした上で、学校と男子生徒には女子生徒への謝罪を求めた。 2009年3月27日、福島地方裁判所郡山支部は監督責任を怠った元顧問らを監督する市と県に約1億5600万円の支払いを命じる判決を言い渡した。また男子生徒には市や県などとともに330万円の支払いを命じた。 判決は男子生徒について、女子生徒に対し一方的に技を数回かけ相当程度の強さで投げた行為を「部活動の指導を逸脱する暴行があった」と認定。学校側に対しては、事故の1ヶ月前の入院を把握していたにもかかわらず部員に説明や指導をしなかったことや、男子生徒の部の秩序を乱す行為を放置していたことなどを安全対策の不備と指摘し、「その危機意識の低さには顕著なものがあった」との見解を示した。一方で意識不明となった怪我については、1ヶ月前の怪我の影響で血管が切れやすい状態にあったためであり、数回の柔道技は通常であれば重篤な障害をもたらす程度とは考えがたいと説明し、両親は女子生徒に対し自らの判断で部活動への参加を控えさせる選択肢があったことも指摘した。 学校側による報告書については、母親が発言した覚えのない言葉が記載されていることなどから信用性に大いに疑問があるとし、暴力行為を証言した部員を恫喝した教頭の主張も矛盾していると結論づけた。また校長ら管理職が責任逃れをしようとした疑いが強いことも慰謝料増額の理由だとしている。 判決を受け橋本克也須賀川市長は記者会見で、遅延損害金を含めた損害賠償金1億7838万円余を支払ったことを明らかにした。
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