少額随契
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/07/08 08:12 UTC 版)
予定価格(貸借契約の場合は予定賃貸借料)が少額の場合(会計法第29条の3第5項、予算決算及び会計令第99条第2項~第7号、地方自治法施行令第167条の2第1項第1号、地方自治法施行令別表第5)に、二以上の者から見積書を徴取して契約者を決める方式。法令上、予定価格が少額随契可能な額であっても、可能な限り競争入札を行なうように指導されている。 少額随契できる予定価格(貸借契約の場合は予定賃貸借料の年額または総額)の限度種類国都道府県及び政令指定都市その他市町村根拠条文工事又は製造250万円 250万円 130万円 予決令第99条第2号、地方自治法施行令別表第5 財産購入160万円 160万円 80万円 予決令第99条第3号、地方自治法施行令別表第5 物件借入80万円 80万円 40万円 予決令第99条第4号、地方自治法施行令別表第5 財産売払50万円 50万円 30万円 予決令第99条第5号、地方自治法施行令別表第5 物件貸付30万円 30万円 30万円 予決令第99条第6号、地方自治法施行令別表第5 それ以外100万円 100万円 50万円 予決令第99条第7号、地方自治法施行令別表第5 ※予決令=予算決算及び会計令 ※各地方自治体においては、上記の金額の範囲内で各自治体の規則で定める額以下とされている。 二以上の者から見積書を徴取することで一応の競争性は担保されているが、徴取対象事業者を恣意的に選定すれば官制談合の温床になる恐れがある。とはいえ、特命随契とは違い、予定価格に制限があるため、大規模な事件になることは少ない。ただし、一括に発注すべき契約を複数に分割することで少額随契とするなど、その抜け道もある。そうした複数分割事例は会計検査で何度か指摘されている。 一方で、むやみに一般競争化することは、いたずらに小規模事業者を排除することになり、中小企業対策として好ましいとは言えない。一般競争については、参加資格の制定を認められており(予算決算及び会計令72条および第2項、第3項)、資格を定めた場合は名簿登録事業者しか競争に参加できない。現在、物品の製造・販売、役務の提供等、物品の買受けについて殆どの省庁が省庁間統一資格名簿を利用している。指名競争については、一般競争の名簿と兼ねる場合を除いて、参加資格の制定が義務づけられている(予算決算及び会計令第95条および第2項、第3項)。よって、参加資格名簿に登録されていない業者は一般競争にも指名競争にも参加することが出来ない。名簿登録の資格審査には財務状況等の詳細な資料の提出が必要であり、これは、小規模事業者にとって費用対効果に乏しく、事実上の参入障壁となっている(たとえば、法人税や消費税の分割納付をしていると添付書類のうち納税証明書その3が発行されない。そのため、名簿登録のためには一括納付する必要がある)。また、入札に係る手続きの煩雑さも、小規模事業者には参入しにくい原因となる。一方で、随意契約には、そのような決まりはなく、手続きも簡素であるため、事業者の規模に関係なく参加の余地が与えられる。 平成18年度に見直しされて以降、より高度な競争性や透明性が求められるようになっている。行政改革推進会議は、オープンカウンター方式等を活用して可能な範囲で競争性や透明性に配慮した取組を行うことが求められるとしている。
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