少年・青年役
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/06/08 06:13 UTC 版)
声優としてある程度有名になった時、事務所のマネージャー達に「『タッチ』はヒットしたが、あれだけ大きな役でヒットしてしまうと次が大変だね」と言われる。若くて上手な後輩がデビューしてくる状況に日高は、声優の仕事を続けるためにはヒロイン以外の役もできるようにならなくてはならないと思うようになる。 ある日、天道あかねとして出演していた『らんま1/2』の現場で、チョイ役(モブ)の少年に、誰かが声を入れなければならない状況になった。このような場合、その場にいる女性声優が担当することになっていたが、その時は日高しかいなかった。しかし、録音監督の斯波重治は、「やっぱり来週録るからいいや」と、少年役の収録を見送った。日高は「斯波さんは私に少年役は無理だと思ったんでしょうね」とその時を振り返り、自身でも少年役をやったことがなかったため「やらせてください!」と立候補することもできず、モヤモヤとした感情を抱いていた。 そのような状況で、どうしたらよいのか考えた結果、これまでの代表作に女の子役が多かった自分がガラッとイメージを変えるには男の子役にチャレンジすることだと思い立ち、当時はヒロインのウェンディ役としてオファーを受けていた『ピーターパンの冒険』で、ピーターパン役を希望する。しかし、音響監督に面と向かって「(ピーターパン役のオーディションを)受けさせてください」と言う勇気がなかったため、音響監督の山田悦司とすれ違いざまに小さい声で「ピーターパンもやってみたいな」と囁いたところ、「何、やってみたいの?」とあっさり返され、すぐ声を録ることになり、結局ピーターパン役に決まった。 『ピーターパン』第1話のアフレコでは力みすぎて声を潰してしまい、その後OAされたものを見ながら「ここをこうすればいいかな」と少しずつ感じを掴んでいった。この声を潰した演技に対し、『ピーターパン』の予告編を観た山口勝平からは、「今度の世界名作劇場の主役は声が汚いですね!」と、共演している『らんま1/2』の現場で冗談を言われた逸話もある。 また、初の少年役ということでプレッシャーを感じて苦しんでいたが、ウェンディ役の松井菜桜子や共演していた島本須美に助けてもらって演じることが出来た。フック船長役の大塚周夫とは、日高と2人で演じるシーンがかなりあり、大ベテランの大塚が相手役であるため、「精一杯の演技で返したい」という思いで、ずっと緊張感を持って演じていた。また、『らんま1/2』録音監督の斯波からは、「良かった!アニメ自体も良かったけど、あなたも良かった!」と誉めて貰えた。 2つ目の本格的な少年役『ふしぎの海のナディア』のジャンは、ピーターパンのはつらつとした芝居と違い、抑える場面や日常的な会話の演技を求められ、「男の子の声になっているだろうか?」との不安を感じた。また、発明家という設定から脚本のセリフに難しい漢字が多く、漢字が苦手な日高はその面でも苦労があったと語っている。同作のナディア役で共演した鷹森淑乃とは現在も親交があり、家が近所ということもあって、一緒にランチを食べては教育問題を語り合う仲だという。なお、劇中でのナディアの性格については「自分がジャンの立場だったら“お前なんか勝手にしろ!”と思うシーンが沢山あった」とのことである。 さらに劇場版では、17歳に成長した青年のジャンを演じることになり、やりがい・苦労ともに大きかったという。ジャン役以降は男性役での出演が増えるようになり、より演技の幅を広げる。 その後『ドッジ弾平』で主役の一撃弾平を演じ、弾平の相棒である小仏珍念を担当した野沢雅子との共演を通して、少年役を演じる上での心構えや少年の色々な感情の演じ方を学んだ。
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