小学校での薬物混入事件
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/06/13 00:30 UTC 版)
1993年(平成5年)、宅間は30歳のとき非常勤の地方公務員になり、伊丹市営バスの運転手やゴミ収集(1997年)、伊丹市立池尻小学校の用務員(1998年より)などを務めていたが、この間も市バスの運転を務めている最中に乗客の女性に「香水の匂いがきつい」ことを理由に因縁をつけてトラブルを起こし懲戒解雇処分を受けている。小学校で用務員を務めていた際には、ごみを収集場所に持ってきた児童に「入れ方が悪い」と大声で怒鳴ることもあり、児童が校長に、宅間を辞めさせるよう頼んだこともあったという。1998年(平成10年)10月には、別れた妻を殴った傷害容疑で逮捕されている。 1999年(平成11年)3月12日、池尻小学校の用務員を務めていた宅間は、小学校教諭等が飲む茶に精神安定剤を混入させる事件を起こし、同月14日に傷害容疑で伊丹警察署に逮捕され、翌15日に書類送検された。調べによると宅間は12日正午、技能員室で精神安定剤入りの数錠の錠剤を急須の茶に溶かして飲んだが、約40分後に昼食を摂るため部屋に入ってきた教員が同じ急須にポットの湯を注ぎ足すと、宅間は精神安定剤が混ざっていることを知っていたにも関わらず、そのまま教員らの湯呑みに茶を注いだ。約1時間半後になって、教員4人が目まいや口の痺れ、眠気などを訴えて、その後3日間入院した。 逮捕された宅間は調べに対し「妻から別れ話を切り出されたうえ、職場でもうまくいっておらず、視線を冷たく感じていた。教諭四人にうらみはないが、うっぷんをはらそうと、軽い気持ちでお茶を出してしまった」「先生達に無視され家族とも上手くいかず、人間関係による鬱憤を晴らしたかった」と話している。 校長は、宅間に怒鳴られた児童から苦情があったことを述べた上で「本人が家庭や仕事で悩んでいたようなので、何度か話し相手になって励ましてきたが残念」と述べている。14日に開いた臨時児童朝礼では、宅間の逮捕には触れなかったが「皆さんに心配をかけた」と頭を下げ、「命を大切に、明るく安全な学校を作りましょう」と話した。しかし宅間は「責任能力なし」として刑事処分は受けず、神戸地方検察庁により不起訴処分となった。その後、宅間は同年4月12日付で分限免職となり、精神保健福祉法に基づき、西宮市内の病院へ措置入院させられ(精神分裂病と診断)、本事件を起こすまで4回にわたり、入退院を繰り返した。また、同年11月には民家に忍び込んだとして住居侵入容疑で逮捕され、本事件直前の2001年(平成13年)2月には暴行・器物損壊容疑で書類送検されている。
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