対抗機種との比較
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/07/15 00:24 UTC 版)
「ベル V-280」の記事における「対抗機種との比較」の解説
シコルスキー・エアクラフトとボーイングがアメリカ合衆国のアメリカ陸軍の軍用ヘリコプターの数種類の系列を完全に新規開発する計画である統合多用途・将来型垂直離着陸機計画(Joint Multi-Role / Future Vertical Lift , 略語:JMR / FVL)の要求に従い、2019年3月21日に初飛行した複合ヘリコプターであるSB>1 デファイアント〔開発企業連合内部の製品名は『シコルスキー S-100 N100FV』〕と比較して以下の有利な特徴がみられる。 長距離飛行性能に対する優位 : 要求された航続力を達成するのはSB>1 デファイアントであっても、複合ヘリコプターの搭載力の優位性を活かして、より多くの燃料を搭載することで可能ではあるが、巡航時に固定翼機として燃費を向上可能なティルトローター形式に対して、本質的に常に回転翼機状態のSB>1 デファイアントは、同じ航続力を達成するために、より多くの燃料を搭載することになり、経済性に劣る。 最大速度の優位 : 巡航時にプロペラとして機能するティルトローター機のプロップ・ローターは、その羽根の大直径による抗力増大により通常の固定翼機に対しては高速達成は幾分不利だが、それでもなお、巡航時でも非効率的な回転翼機に対して絶対的な速度性能で勝る (SB>1 デファイアントが250 kn〔 460km/h 〕を予定しているのに対して300 kn〔 560 km/h 〕を達成) 。 一方で欠点に関しては、シコルスキー = ボーイング 企業連合が主張する複合ヘリコプターの優位性がそのままティルトローター形式の不利な点となる。以下にSB>1 デファイアント開発企業連合の主張を記載する。 SB>1 デファイアントの最大速度は、確かにティルトローター形式に較べて幾分劣るものであるが、一方で低速度域内での機動性は勝っている。このため、攻撃ヘリコプターに準じた派生型を開発するのに有利であり、SB-1 輸送型はもちろん、V-280 輸送型の輸送飛行中 (経済性の観点から最大速度や空荷巡航速度で飛行することが無く、貨物搭載時の実際の巡航速度は 480 km/h 前後のため) の護衛に対しても性能差が比較的少ない SB>1 デファイアントの攻撃型を同行させることが可能でヘリボーン作戦の損害率の低減に役立つ。 アメリカ陸軍が2030年に初度作戦能力 ( Initial Operational Capability , IOC ) を予定することを求められる「将来型長距離強襲機 ( FLRAA (“Flora”と発音), the Future Long-Range Assault Aircraft ) の任務に関して、ティルトローター形式が翼端に回転翼を設置しなければならない同形式の必要性により横幅、ひいては前方投影面積が複合ヘリコプターに比較して大幅に増え、被弾率で不利になる。また機首の素早い回頭に難があり銃塔 (ターレット)を必要とするなどの機動性に関する欠点も存在し、SB>1 デファイアント の攻撃型はこれらの点でティルトローター機に勝り、また揚力に対し荷重を負担する円盤面積が比較的小さい複合ヘリコプターの特性により航続力をも充分に確保可能であるとしている。 この他にも、SB>1 デファイアントはヘリコプターの操縦資格があれば機種転換訓練のみであるが、V-280はパワード・リフト機であるため、より長い操縦訓練が必要となる。
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