宝物集巻第一
主名称: | 宝物集巻第一 |
指定番号: | 2487 |
枝番: | 00 |
指定年月日: | 1994.06.28(平成6.06.28) |
国宝重文区分: | 重要文化財 |
部門・種別: | 書跡・典籍 |
ト書: | 弘安十年二月一日日春書写奥書 |
員数: | 1巻 |
時代区分: | 鎌倉 |
年代: | 1287 |
検索年代: | |
解説文: | 『宝物集』は『和歌色葉』に「康頼が宝物集」とみえて、鬼界が島から帰洛した平康頼【たいらのやすより】が著した仏教啓蒙的な説話集である。内容は帰洛後東山に隠棲した著者が、清凉寺釈迦の天竺帰国の風聞に、釈迦堂に参籠した夜に聞いた宝物論を書き留めた形をとり、仏法こそが第一の宝であることを、六道と一二門の成仏道を立て、例話・証歌を上げて述べている。伝本には一巻本、二巻本、三巻本、七巻本等の諸本があり、三巻本、七巻本はさらに数種の系統に分類されている。 光長寺本は七巻本系の巻第一の古写本で、現状は巻子に改装されているが、もとは袋綴本である。巻首の旧扉紙中央に「寶物集一」と内題を記し、左下に「釈子日春之」と墨書がある。本文の料紙は楮紙で、「寶物集一」の首題以下、本文は旧半葉九~一二行、一行二十数字前後に片仮名文をもって書写する。文中には訂正、校異がしばしばあるほか、全文にわたって傍訓が施されている。巻末の尾題についで、弘安十年(一二八七)二月一日の日春の書写奥書がある。筆者の日春はもと天台僧で空存と称し光長寺住職であったが、日蓮とその弟子日法の布教により改宗して日春と改めた人物である。 『宝物集』は『平家物語』『曽我物語』などの後の文学作品にも多くの影響を与えたが、特に日蓮が本書をその説教や法談に盛んに用いたことが「日蓮遺文」上にみえており、このため日蓮宗内においても本書の積極的な書写が行われていた。本書の古写本では宮内庁書陵部本(一巻本)を別とすると、この光長寺本が年紀を明らかにする最古写本であり、その筆写、伝来をも含め、文学・国語史、仏教史研究上に重要である。 なお、附とした原表紙は本書を巻子に改装するに際して、別途掛幅装に仕立てられたものである。 |
- 宝物集巻第一のページへのリンク