宝相華彩絵奚婁鼓胴
主名称: | 宝相華彩絵奚婁鼓胴 |
指定番号: | 2563 |
枝番: | 00 |
指定年月日: | 1995.06.15(平成7.06.15) |
国宝重文区分: | 重要文化財 |
部門・種別: | 工芸品 |
ト書: | |
員数: | 1口 |
時代区分: | 平安 |
年代: | |
検索年代: | |
解説文: | 奚婁鼓は舞楽や寺院における法会【ほうえ】の際用いられる打楽器のひとつで、首から懸けて腹前に吊るし、一方の手に執った〓【とう】(振鼓【ふりつづみ】)を振り鳴らしつつ、他方の手の桴【ばち】で鼓面を打ち奏する。わが国にはすでに奈良に唐楽とともにもたらされたが、首から懸け吊るすという奏法が定着したのは平安時代中期以降とされている。 本件は檜材製、表面に宝相華の華麗な彩絵を施した奚婁鼓の鼓胴で、全体の構造は、内刳【ぐ】りを施した半球形の二材を矧【は】ぎ合わせ轆轤挽【ろくろび】き成形し、上下鼓面部に響孔【ひびきあな】をあけ革を張って(現在はほとんどが欠失)竹釘で留めたのち、素地全体に布着せ・漆下地を施したうえ、白土地彩絵している。彩絵は胴部上下区を丹地、中区を朱地とし宝相華文を描くが、その花弁は墨・群青・緑青・朱・白土を用いた暈繝【うんげん】彩色によって表され、弁脈や蔓は截金【きりかね】線で表されている。鼓面部および胴部の紐帯【ちゆうたい】には金箔が押されている。なお胴部の二か所には紐金物が打たれている。 いわゆる紺丹緑紫【こんたんりよくし】ふうの配色や、花弁の輪郭に引かれた白線、朱・丹の暖かみのある色調、繊細な截金線など、平安時代後期の特色が豊かで典雅な趣にあふれており、また紐金物も、静岡・MOA美術館蔵彩絵曲物笥【さいえまげものけ】(重要文化財・平安時代)のものに類似するなど古様を示している。 この種奚婁鼓胴の遺例としては、鎌倉時代以降の数例が重要文化財の指定を受けているが、なかでも本件は遺存の状態が良好であるとともに、緻密な彩絵技法や優美な賦彩、整美な紐金物など総体の作行も優れており、かつ現存最古の奚婁鼓胴として貴重な存在である。 |
工芸品: | 定窯白磁蓮花唐草文鉢 定窯白磁金彩雲鶴唐草文碗 宝珠羯磨文錦横被 宝相華彩絵奚婁鼓胴 宝相華銀平文袈裟箱 密教法具 寿老図六角皿 |
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