宇宙飛行士
必要な資質は「健康」「協調性」「英語力」の3要素
宇宙飛行士は、地上とちがった環境である無重力状態に体をなれさせる必要があるので、まず健康でなければなりません。それに、限られたシャトルの空間の中で数人が共同生活するので、協調性やチームプレーの精神が必要です。また、機内での会話や地上との交信はすべて英語でおこなわれるので、英語力も欠かせません。この3つが宇宙飛行士になるのに最低限必要になるでしょう
シャトルの宇宙飛行士は、役割別の専門家集団
スペースシャトルの宇宙飛行士は役割によっていろいろな種類に分類されます。「コマンダー」はシャトルの船長で、シャトルでの飛行期間中の全責任を負います。「パイロット」はコマンダーを補助し、シャトルの運用と操縦をおこないます。「ミッション・スペシャリスト」(MS)は、機器の操作、船外活動、人工衛星の回収・放出などを実行します。若田光一宇宙飛行士は日本人としてはじめてMSとしてシャトルに乗り込みました。「ペイロード・スペシャリスト」(PS)はNASAの宇宙飛行士以外の搭乗員で、特定のミッションの専門家です。毛利衛宇宙飛行士と向井千秋宇宙飛行士は、それぞれ材料科学と医学のPSです。
国際宇宙ステーションへ向け、さらに募集
1995年、宇宙開発事業団(現 宇宙航空研究開発機構(JAXA))は5人目の宇宙飛行士を募集し、野口聡一さんが宇宙飛行士として選ばれました。また、アメリカ、EU諸国、カナダ、ロシア、日本の協力で、地球周回軌道上に、長期にわたり実験や観察ができる国際宇宙ステーションの建設が計画されました。それに向けて、宇宙ステーションで活躍する宇宙飛行士の募集が数回おこなわれ、現在のところ、古川聡さん、星出彰彦さん、山崎直子さんが宇宙飛行士として訓練を積んでいます。
1年にわたりおこなわれる、宇宙飛行士の訓練
フライトが決定した宇宙飛行士は1年にわたり訓練をおこないます。体力訓練としては、2時間のトレーニングが週に3回ほどおこなわれます。このトレーニングは筋肉をきたえるのではなくて、限られた期間内で数十種類の実験をこなす体力を保つためにおこなわれます。NASAではKC135という飛行機の慣性飛行で無重力状態をつくり出し、体が無重力状態に慣れる訓練をします。また、無重力状態でスムーズにミッションが進められるように、宇宙服を着て、水中でミッションの予行を何回もくり返します。
さまざまな任務を帯びて活躍する宇宙飛行士たち
スペースシャトルには、少なくても5人の乗組員がいます。コマンダー、パイロット、3人のミッション・スペシャリスト(MS)です。通常は、これにペイロード・スペシャリスト(PS)が1人か2人搭乗します。コマンダーは、シャトルの飛行から帰還までのミッション全体を指揮するので、シャトル・システムすべてについて訓練を受けています。パイロットは、とくに電力系と姿勢制御系の訓練を受けています。打上げ時や着陸時の故障などの緊急事態の訓練を重ね、不測の事態に対処する役割が期待されています。パイロットとして1度か2度フライトを経験するとコマンダーに昇格します。
MSとPS
ミッション・スペシャリスト(MS)は、シャトルが軌道上にある時の作業を担当します。第1から第3のMSがいて、搭載した荷物と実験に関すること全般について責任を負っています。船外活動、人工衛星の回収・放出などをします。第2MSの宇宙飛行士は、打上げと着陸時にはコマンダーとパイロットのすぐ後ろの席に着き、緊急事態が生じた時にはフライト・エンジニアとして補助的な役割を受け持っています。ペイロード・スペシャリスト(PS)はNASAの宇宙飛行士ではありませんが、普通、宇宙研究に関して専門的な知識を持つ科学者がなり、荷物として積み込んだ実験機器を使って、その人にしかできない実験をします。
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