学問領域の専門化および専門化した学問領域間交流の非柔軟化
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「東京工芸大学」の記事における「学問領域の専門化および専門化した学問領域間交流の非柔軟化」の解説
東京写真専門学校時代の1907年生の渡辺義雄、東京写真工業専門学校時代の1924年生の仁田三夫、東京写真短期大学時代の1933年生の細江英公(敏廣)がいた時代、化学を基幹とした写真の処理と、幾何光学的応用物理と、写真の撮影技術の3本立ての工学と芸術の融合した専門教育が行われた。さらに芸術的側面からは写真美学等の芸術学の講義が行われていて、ある意味での工学と芸術の総合教育が成立していた。 1970年代までは現・東京工芸大学もその教授資格が柔軟で、短期大学を卒業して優秀な者が常勤教員となる場合があった。短期大学部もその伝統を継承し、工学部においても、基礎課程に、応用物理学と応用化学と機械工学を並立させるなどした。東京写真短期大学から工学部長に博士号を有しない林一男教授が就任し、工学の広範囲を網羅する学際的領域を基幹として芸術と工学の全分野を教授する非常に前衛的な教育を実施していた。その後、写真化学の基本と印刷工学の基本である応用化学と物理化学の分野が独立し、応用化学科となり現在のナノ化学科に分枝した。 芸術と最も深い関係のある建築学科を加え、電子工学科が追加された。しかし、当初の芸術と工学の融合、また物理と化学と電気と機械の融合(工学間の融合)の理想は、各専門領域の高度な技術革新に伴い、現実的に教授することができなくなった。分科が進み、柔軟性が薄くなった。 芸術学部も、工学系出身の芸術学部教員が「工学」の学際領域を一部教授している教員もいるが、入学者の大半は文系学生であるため工学的な教育研究に困難が出てきている。また、インターフェース等の改良により、ゲーム、インタラクティブアート等の一部を除き、かつてと比べると工学的知識があまりなくとも撮影機器、ソフトウェア等の利用が容易になっているという現状もある。 しかしながら、前記のとおり、他の大学と異なり、各学科との情報交換が非常に進んでいる。「学問のハイブリッド化」という言葉もあるように、複合科学技術の追求が、東京工芸大学の特色の一つと言える。また、現在の東京工芸大学では、かつての東京写真大学時代と異なり、教員の学位(修士号・博士号)取得者が多数にのぼり、高度化した。
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