存在比・製造
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/03/16 10:19 UTC 版)
ランタンはすべてのランタノイドの中で3番目に豊富に存在する。地殻の39 mg/kgを占め、これはセリウムの66.5 mg/kgとネオジムの41.5 mg/kgに次ぐ多さである。地殻では鉛の約3倍存在する。いわゆる「希土類元素」に含まれているが、このように全く珍しくない。しかし、石灰やマグネシアなどの「一般的な土類」よりはまれであり、歴史的に少数の堆積物しか知られていないためこのような名前がついている。採掘過程が難しく、時間がかかり、高価であるため希土類金属と見なされている。希土類鉱物で見つけられる主要なランタノイドであることは滅多になく、化学式では通常セリウムの方が多い。Laの方が多い鉱物の珍しい例はモナザイト-(La)や ランタナイト-(La)である。 La3+イオンは周期表ですぐ後に続くセリウムグループの前半のランタノイド(サマリウムとユーロピウムまで)と同様の大きさであるため、リン酸塩、ケイ酸塩、炭酸塩などの鉱物でそれらと一緒に生じる傾向にある。鉱物にはモナザイト (MIIIPO4) やバストネサイト (MIIICO3F)があり、ここでMはスカンジウムおよび放射性プロメチウム(ほとんどはCe, La, Y)を除くすべての希土類金属を指す。バストネサイトは通常、トリウムと重いランタノイドが不足しており、これから軽いランタノイドの精製にはあまり関わらない。鉱石は粉砕されたのち最初高温の濃硫酸で処理され、二酸化炭素、フッ化水素、四フッ化ケイ素が生じる。次に生成物は乾燥され水で浸出され、ランタン含む前半のランタノイドのイオンが溶液中に残る。 通常全ての希土類とトリウムを含むモナザイトに対する手順の方がより複雑になる。モナザイトはその磁気特性により、電磁分離を繰り返すことで分離できる。分離後、熱濃硫酸で処理すると、希土類の水溶性硫酸塩が生じる。酸性の濾過液は水酸化ナトリウムで部分的に中和され、pH 3–4になる。トリウムは水酸化物として溶液から沈殿し取り除かれる。この後、溶液をシュウ酸アンモニウムで処理し、希土類を不溶性のシュウ酸塩に変化させる。シュウ酸塩はアニーリングにより酸化物に変化する。酸化物は硝酸に溶かされ、その酸化物が硝酸に不溶であり、主要な成分の1つであるセリウムが取り除かれる。ランタンは結晶化により硝酸アンモニウムとの複塩として分離される。この塩は他の希土類複塩よりも溶解度が比較的低いため、残留物として残る。強力なガンマ線を放出する232Thの娘である228Raが含まれているため、一部の残留物を処理するときには注意が必要である。ランタンは隣接するランタノイドがセリウム1つであるため比較的簡単に抽出できる。セリウムは酸化数+4に酸化されることを利用して取り除くことができる。その後、La(NO3)3·2NH4NO3·4H2の分別晶析法の歴史的な方法、もしくはより高い純度が望まれる場合はイオン交換技術によりランタンを分離することができる。 金属ランタンはその酸化物を塩化アンモニウムまたはフッ化アンモニウム及びフッ化水素酸とともに300-400 °Cで加熱して塩化物やフッ化物を生成することにより得られる。 La2O3 + 6 NH4Cl → 2 LaCl3 + 6 NH3 + 3 H2O これに続いて真空中もしくはアルゴン雰囲気中ではアルカリまたはアルカリ土類金属による還元が行われる。 LaCl3 + 3 Li → La + 3 LiCl また、純粋なランタンは高温で無水LaCl3およびNaClかKClの溶融混合物の電気分解によっても生成できる。
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