天然記念物の指定解除
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/07/07 01:24 UTC 版)
「十六島ホタルエビ発生地」の記事における「天然記念物の指定解除」の解説
4年間に及ぶ調査を委託された横須賀市博物館館長の羽根田弥太は、当初の予定では、たとえ一匹でもホタルエビを採集できたら、発光バクテリアを培養増殖してホタルエビを増殖させる考えでいたものの、ついに4年間、発生したとの目撃情報を聞きながら、実際に入手することができなかった。昔のように、夏の夜、いつでも数百のホタルエビを見ることは、今や昔物語になってしまったと感想を述べている。 各地の漁業協同組合での聞き取り、葉書アンケートや座談会での情報を総合すると、1965年(昭和40年)頃までは多くの人々の眼にホタルエビの記憶が残っていたものの、それ以降、急速にホタルエビが姿を消したことがわかった。結果的に1972年(昭和47年)7月に目撃、採集された3件の報告例が、佐原付近での最後の発生例となり、千葉県教育委員会による生息環境調査と保護増殖事業は1973年度(昭和48年度)をもって打ち切られた。 ホタルエビの発光バクテリアは佐原のような塩分の少ない水に長期間慣れたため、発光性を失わなかった特殊なバクテリアであり、その発光のためには微量の塩分が必要であるため、1971年(昭和46年)1月に竣工した利根川河口堰により、佐原付近の水中塩分濃度が減少し、発光バクテリアに影響を与え、周辺一帯の圃場整備による小規模河川の埋め立ての影響も考えられている。 羽根田は今後も佐原付近の新しくできた水路やテトラポット設置地域について、少なくとも毎年1回か2回は調査することは無駄にならないとしていたが、その後もホタルエビが現れることはなく、1982年(昭和57年)10月7日に国の天然記念物指定が解除された。 なお、同じく淡水エビのスジエビの発光事例として、1994年(平成6年)7月に、滋賀県の琵琶湖の生け簀で光るエビが確認され、国立予防衛生研究所・理化学研究所などによって詳細な調査が行われている。
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