大阪事件・長良川事件の被害者遺族
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「大阪・愛知・岐阜連続リンチ殺人事件」の記事における「大阪事件・長良川事件の被害者遺族」の解説
長良川事件で息子Cを失った夫妻(Cの両親)は事件後、当初は被告人3人 (KM・KA・HM) の初公判期日すら知らされず、「被害者遺族が軽視されている」と刑事司法の不備に憤ったこともあった。また3被告人が上告審判決により死刑が確定する前は実名報道されなかったため「なぜ被害者は実名報道されるのに、成人間近で事件を起こした加害者たちは実名報道されないのか」という思いを抱いたほか、法廷で「相手が先に睨んできた」などと主張したことから、周囲からの「被害者にも落ち度があるのではないか」という憶測にも苦しめられた。また、加害者の親たちが自分たちに謝罪したり、公判に出廷したりしなかったことに対しても「子供の犯した罪はせめて親が謝罪することが筋であるはず。誰も謝罪に来ないのはあまりにも無責任だ」と怒りの弁を述べている。 Cの両親は犯罪・交通事故の被害者遺族が集う活動「生命のメッセージ展」に参加するようになった。また夫妻とも主犯格の加害者3人全員への死刑適用を求め、Cの父親は第一審の公判(2000年11月中旬)には法廷で「3被告人への極刑を望む」と、控訴審の公判でも3被告人に「私はお前たちが社会に復帰することを望んでいない」とそれぞれ意見陳述した。 Cの父親は2011年2月に愛知少年院(愛知県豊田市)で入所者たちを相手に講演した際に「被害者にとっては加害者が少年だろうと成人だろうと関係ない。自分は同じような被害者を出さないためにここに来ている」「謝罪の手紙を(被害者に)出すなら真実を書け。もし本当の償いでなければ、被害者は必ず君たちが更生していないことを見抜く」と述べた。また「少年の健全育成」を理念に掲げる少年法については理解を示しながらも、青木理の取材に対しては「仮に不幸な生い立ちなどが加害者側にあったとしても、犯した罪の責任はきちんと取るべきだ。自分も被告人たちの謝罪・反省の手紙を読んで情に流されかけることもあるが、結局は『3人には死刑しかない』という気持ちの方がはるかに強い」と述べたほか、少年事件における実名報道をめぐる問題については「匿名が守られてこそ多くの少年に更生の道が開けるのは否定できないが、自分たちは加害者らが匿名報道された中でインターネット上にいい加減な書き込みがあふれて辛い思いをした。今のままでは、加害者の匿名報道は結果として被害者・遺族を傷つけるのではないか?」と述べている。 また大阪事件で犠牲になった被害者Aの両親は『週刊新潮』からの取材に対し「自分たちは一度も裁判を傍聴しなかったが、怒りのあまり犯人に飛び掛かるのを我慢する自信がなかったからだ」「息子Aの遺体は自分たち家族でさえ誰の顔か判別できないほど変形していた。通夜・葬式をすればそのひどい姿を見られてしまうから、(遺体を引き取ってから)警察から火葬場へ直行した」と述べたほか、Cと同じく長良川事件で犠牲になった被害者Dの実兄も同誌記者の取材に対し「被告人3人は地裁で審理が始まったころにふざけた態度を取り続けていた一方、死刑を求刑されると一転して反省の言葉を口にしたが、自分たちは命乞いする弟を惨殺したことを棚に上げて命乞いしているようにしか思えない」と述べている。
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