大相撲の除名
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/05/09 06:36 UTC 版)
相撲のプロ興行を行う公益財団法人日本相撲協会では、「解雇」を上回る最も重い処分として「除名」が制度上は存在し、一般企業の懲戒解雇、ヤクザ社会の絶縁に相当する強い意思を協会所属員の総意によって表すものと位置づけられる。 処分を受けた場合、退職金、功労金(一般企業の特別退職金に相当)などが一切支払われない。また今後協会が行う一切の活動に参加できなくなるだけでなく、協会ないしは関連の企業との間で利害関係、取引関係を持つこともできなくなる。現役力士が除名された場合は、それまでの番付・地位および競技成績についても一切無かったことにされる。 2014年(平成26年)2月に公益財団法人に移行した際に賞罰規定の改正が行われ、除名に相当する場合でも理事会で機動的に対応できる「解雇」を平常時に取り得る最高の処分とすることにした。ただし解雇ではファンの理解を得られないと執行部が判断した非常事態の場合に限り、評議員会の特別決議で除名処分が発動され得る。旧法財団法人時代は、理事会の4分の3以上の賛成で評議員会を招集し、そこで役員を含む年寄全員、日本国籍を持つ横綱・大関陣、および立行司からなる評議員全体の4分の3以上の賛成によって特別決議すると定めていた。 詳細は「日本相撲協会#除名」を参照 1925年(大正14年)の現法人設立以降では適用された例はないが、明治時代に運営方法の対立から前身の大角力協会とは別の団体を立ち上げようとした力士数名が除名となった例がある。2009年(平成21年)には大麻所持で逮捕された力士に対して除名論が出たが、「前年に大麻所持で逮捕された別の力士を解雇にしており整合性がとれない」「(4分の3以上に緩和されていても)否決でもされれば余計混乱する」として解雇に落ち着いている。なお、解雇でも「引退を許さない」点、また2014年に正式な処分として追加された引退勧告も拒否すれば解雇に切り替わる点を考慮すると何れにせよ極めて重い処分であり、かつ相撲のプロ組織は日本相撲協会しかないため事実上選手生命を絶たれることになる)。 詳細は「日本相撲協会#過去に処分された力士・親方衆・関係者」および「番付#特殊事情の場合」を参照 「高砂浦五郎 (初代)#「高砂改正組」事件」および「小柳常吉 (明治)」も参照 2021年(令和3年)、1月場所中に新型コロナウイルス感染症の感染拡大防止の為、不要不急の外出を禁止するなど、角界独自のガイドラインを作成している中において、麻雀店や風俗店への来店および複数人での外食などを繰り返した時津風親方の不祥事の悪質性を重くみた日本相撲協会が現法人の設立以降、史上初となる除名処分を検討中と報道された が、最終的には「退職勧告処分(退職金30%減額)」で落ち着いており、除名処分は避けられている。
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