大文字保存会
京都の夏の風物詩である伝統行事「五山の送り火」のうち、「大文字」の保存・継承のため活動している団体。大文字がある京都市左京区の地域住民らによって運営されている。大文字山の送り火で焚かれる護摩木の手配、点火作業、平時の大文字山の手入れ、などの活動を行っている。
2011年夏に催される「五山の送り火」では、2011年3月に発生した「東日本大震災」で亡くなった人々の鎮魂の意味をこめて、大津波でほぼ壊滅状態に陥った岩手県の名勝「高田松原」の松を、薪に使用しようという計画が持ち上がっていた。ちなみに、五山の送り火は、元来、死者の霊をあの世に送るための火とされている。
7月以降、送り火に高田松原の松を薪に使う計画が報道され始めると、福島県で発生している東京電力福島第一原子力発電所の原発事故の報道に絡めて「松を燃やすと放射性物質が舞い上がるのではないか?」といったことを不安がる内容の問合せが、大文字保存会のもとに相次いで寄せられたという。大文字保存会では、事前に松の薪の線量チェックを行い、安全上問題ないことを確認しはしたが、不安が払拭されない事態を鑑みて薪の使用を中止することにした。
ところが、高田松原の薪を使用しないことを発表すると、今度は「風評被害以外の何ものでもない」「被災者の心情への配慮を欠く判断だ」といった趣旨の抗議が更に相次いで寄せられることとなった。
大文字山の送り火で使用されるはずだった高田松原の松の薪は、送り火への使用中止が発表された後、松原のあった陸前高田市で、お盆の迎え火として焚かれた。大文字保存会、ならびに「五山の送り火」の他の四山の各保存会も、後に被災地の松を薪として受け入れることを表明している。
大文字保存会
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/05/20 05:50 UTC 版)
もともとは京都の愛宕郡浄土寺村、浄土院(浄土宗。慈照寺建立前よりこの地に在った「浄土寺」が移転した際に残された堂が寺となったもの。通称大文字寺)檀家の農家が送り火の行事を維持していた。2000年現在の地名で言えば、左京区の銀閣寺町、銀閣寺前町、および浄土寺東田町、浄土寺南田町、浄土寺石橋町といった地域である。 現在は「特定非営利活動法人、大文字保存会」(NPO、1999年9月より)が管理・運営に当たっている。1995年の文献によれば、少し前までは財源の確保にも苦労しており、寄進者を捜し歩く始末であったという。 なお担当する家は、文献によるが50戸前後であるとのこと。
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