大戦間の状況
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/04/03 04:07 UTC 版)
第一次世界大戦が終了し戦間期に入ると大戦参加各国の航空部隊は大幅に縮小された。当時の飛行機は木製で耐久性に乏しかったため、大部隊を維持するには常に大量に更新する必要があったためでもある。 その中でイタリアのジュリオ・ドゥーエ少将は将来の戦争は戦略爆撃が戦争の勝敗を決する旨の構想を明らかにし、アメリカのウィリアム・E・ミッチェル准将は航空爆撃の効果を重視し爆撃機の攻撃により(旧式ではあるが)戦艦を撃沈できることを証明した。これらの見解は将来の戦争形態について各国の関係者たちに少なからず影響を与えた。1930年代中期まで、各国空軍は技術の進歩にあわせて新しい機体を採用しつつも規模は小さいままであった。 1930年代後半にアドルフ・ヒトラーが率いるナチス・ドイツが再軍備を宣言し空軍を急速に増大させ、スペイン内戦には主に新型機材で構成されたコンドル軍団を投入し、戦果を挙げるとともに、ヴェルナー・メルダースがロッテ戦法・シュヴァルム戦法を考案するなど運用面でも進化を遂げた。これに対抗してイギリス・フランス・アメリカ・ソ連などが空軍の強化を開始し、極東では日中戦争やノモンハン事件を戦っていた大日本帝国の陸軍と海軍も航空部隊を増強した。特に陸軍では既存の士官学校とは別に航空将校養成に特化した航空士官学校を設立、陸軍少尉候補者制度により准士官下士官パイロットの将校・指揮官登用、実戦部隊(飛行戦隊)と支援部隊(飛行場大隊)の空地分離化などが推し進められ、海軍では山本五十六の主導の下、従来の戦艦主体の艦隊から航空母艦を主力とする海軍への切り替えが始まった。この時期イギリスは空母搭載機も空軍に所属していたがこれは不合理で、海軍用の機体は地上を基地とする機体に比べて更新が大幅に遅れた。イギリス海軍が大戦前半に複座戦闘機フルマーや複葉攻撃機ソードフィッシュで戦った原因はここにある。その後イギリスも空母搭載機は海軍所属に変更した。
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