士族の教育水準・職業選択:輩出母体としての士族
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士族は比較的良い教育水準を持っていたとされる。明治期に官立大学と高等教育機関の整備が進められ、当時の『文部省年報』を見ると旧制高等中学校の学生に占める割合は、明治前期にあたる明治19年(1886年)から25年(1892年)までの統計でおおむね半数近く、低い年度でも3割強を占めた。明治43年の統計では大幅に割合が低下するものの、それでも3割に近い割合で士族が難関中学・高校へ進学していることが確認される。明治前期は割合がやや多かったが、明治中後期になると数値が目立たなくなり、各入試の制度が確立されたことによって平民の数が増えていき数値としては逆転したものとなっていった。 旧制高等中学校生の族籍分布 華族士族平民総数明治19年(一高中)明治20年(一高中)明治20年(三高中)明治21年(五高中)明治23年(全高中)明治24年(全高中)明治25年(全高中) 0.2%0.30.30.00.20.10.2 60.9%60.037.377.351.551.451.6 38.9%39.762.422.748.448.548.2 1,1881,0483192603,9824,4424,443 明治43年の旧制高校生族籍分布(外国人を除く) 華族士族平民合計一高*二高三高五高六高七高 1.1%0.30.20.00.00.3 27.1%25.025.440.824.133.7 71.8%74.774.359.275.966.0 273739869868601726 一連の教育制度が整い、族籍に関わらず進学の道が開かれる一方で、官吏登用の面でも国民に広く任用の機会が開かれた。明治20年(1887年)、文官試験試補及見習規則が整い、能力試験に基づく官吏任用が始まったが、士族の子弟の任用は低くても2割から3割を占めた(以下の表 文官高等試験(行政科)合格者族籍別構成参照)。地方吏員の任用も、戸長以外の区郡長や書記などの公職にも見られ、士族が転向を含めて各職業の母体として存在していたことがわかる。 文官高等試験(行政科)合格者族籍別構成年∖高文合格者構成族籍別構成(人)占有率(%)華族士族平民合計士族(%)平民(%)明治27年(1894年)2829303132333435363738394041424344大正1年(1912年)23456 000000100032002012151110 21626242412211718211526242433484642445649382242 42124301719362523323636395371828395103119123979282 637505441315842415354646377106130130139148180173136115124 33.343.252.044.058.538.736.240.543.939.627.840.638.131.231.136.935.430.229.731.128.327.919.133.9 66.756.848.055.041.561.362.159.556.160.466.456.361.968.867.063.163.869.169.666.171.171.380.066.1 地方吏員(区郡吏)族籍別構成(明治15~21年)(人)郡区長書記戸長合計士族平民士族平民士族平民士族平民全体(華族含む)明治15年(1882年)161718192021 380369380399378399397 151160156146125128122 4,2894,4494,9114,9592,8863,0222,866 2,3312,4362,8122,9721,6951,7931,664 3,8333,3033,1663,4233,5313,5213,485 29,92425,83110,6038,0137,6447,4897,525 8,5028,1218,4578,7816,7956,7956,942 32,40628,42713,57111,1319,4649,4109,311 40,91336,54822,02819,91216,25916,35216,059 官吏以外では、教員の職も重要な職業選択の道であった。中学校・高校・師範学校の校長、教員、書記の占有率は明治15年(1882年)で多くを占め、小学校でも、半数程度の占有率を有し、事務員に至ってはほぼ士族であった(以下の表 全国公立学校職員族籍別構成参照)。なおデータは明治初期のものであるため、こちらについても後に平民に置き換わることとなっていく。 全国国公立学校職員族籍別構成(明治15年12月調)族籍別構成(人)占有率(%)人口一万人あたりの輩出率華族士族平民合計士族(%)平民(%)士族平民地方税支弁の学校(中学校・師範学校など) 校長教員書記など --- 61962252 1726070 781,222322 78.278.778.3 21.821.321.7 小計 (a)- 1,275 347 1,622 78.6 21.4 協議費支弁の学校(小学校など) 校長教員書記など -2- 25929,50712 16741,440- 42670,94912 60.841.6100.0 39.258.4- 小計 (b)2 29,778 41,607 71,387 41.7 58.3 計 (a+b)2 31,053 41,954 73,009 42.5 57.5 160.7 12.1 中学校・師範学校の給仕・小使 (c)小学校等の給仕・小使 (d) -- 157857 39611,368 55312,225 28.47.0 71.693.0 計 (c+d)- 1,014 11,764 12,778 7.9 92.1
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