味と匂い
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/07/08 08:11 UTC 版)
コエンドロの葉と種子の精油はポリフェノール類とテルペン類を含む。リナロールがコエンドロの芳香と風味を司る主要な成分である。青葉や未熟果が持っている悪臭ともいえる芳香成分はカプリアルデヒドで、種子が完熟するころにはこの臭気は失われ、レモンとセージを合わせたような香りへと変化する。この種子が持っている芳香成分はコリアンドロールとよばれるリナロールの一種で、精油の60 - 70%を占める。 コエンドロの葉の味の感じ方は人によって異なり、嗜好性が強い。好む人々が、コエンドロの葉は気分をすっきりさせる、レモンのような、あるいはライムのような香りを持つというのに対して、嫌いな人々はその味と匂いに対して強い嫌悪感を示し、石鹸のようなまたは腐ったような味と匂いだと述べる。あるいは、葉と未熟な実のクセのある匂いは、南京虫の悪臭に例えられることもある。その風味を嫌う人にはカメムシのような風味であるとも評され、パクチーの臭いの好き嫌いには、臭いの感じ方の違うDNA(OR6A2)遺伝的要因が関係している事が研究により発見されている。 研究では異なる民族間で嗜好のばらつきが示されている: 東アジア人の21%、コーカソイドの17%、アフリカ系の14%の人々がコエンドロを嫌いと言ったが、食材としてコエンドロが人気な地域の民族集団では、わずか南米人の7%、ヒスパニックの4%、中東の被験者の3%のみが嫌いだと述べた。 研究では一卵性双生児の80%がコエンドロに対して同じ嗜好性を持つことが示されているが、二卵性双生児で一致するのはわずか半分である。これらの結果は、嗜好性への遺伝要素を強く示唆している。3万人近くの人々への遺伝的調査において、コエンドロの知覚と関係した2つの遺伝的変異が見出され、そのうち最も一般的なものは匂いの感知に関与する遺伝子である。この遺伝子、OR6A2(英語版)は嗅覚受容体遺伝子のクラスター内に位置し、アルデヒド化学物質に感受性の高い受容体をコードしている。香り化学者は、コエンドロの芳香が数種類の物質によって作られ、これらのほとんどがアルデヒドであることを明らかにした。コエンドロの味を嫌う人は不快にさせる不飽和(英語版)アルデヒドに感受性があり、同時にコエンドロを好む人が爽やかと感じる芳香化学物質を嗅ぎ分けることができないようだ。その味とその他複数の遺伝子(苦味受容体など)との間の関係も明らかにされている。
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