味とリアクション
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/10/17 07:54 UTC 版)
「料理・グルメ漫画」の記事における「味とリアクション」の解説
紙というメディアでは、料理の見た目というごく一部の側面しか描写できない。望月によって料理漫画(彼によれば「食モノ」「味モノ」)が初めて意識的に描かれると同時に、その困難さも意識された。 今でこそ味モノは色々ありますが、何事も最初、開拓者は苦労があるもの。悩みましたよ。ミソ、ショーユ、塩バター、どういう味にするか、出来上ったのが自分の得意技の活劇味だったわけです。だから、最初の回はドイツ軍仕立て、ユンカースをナルトがわりに並べたわけ。その後も、スープはロシア風ボルシチで、日露戦争の絵を浮かべたりでした。 料理の味も香りも漫画では表現できないために「美味しさ」を描くことができない難しさが料理漫画にはあることは、黎明期の時点で存在したが、それを克服する手法として料理を食べた人間の解説や「リアクション」が考案された。『ケーキ ケーキ ケーキ』でもケーキの美味しさを味わったキャラクターがミュージカル仕立てで歌い踊るが、このリアクションの表現を極端なまでに推したのが寺沢大介で、『ミスター味っ子』(週刊少年マガジン)の料理を食べた「『解説者』の激しいリアクション」は、「料理漫画の新たなリアリティのありどころ」とした。『ケーキ ケーキ ケーキ』では発表の少し前より少女漫画でみられたミュージカル的な演出を取り入れ、同作ではそれを食べたときのリアクションとして進歩させた。杉村は「勝ち抜き方式ではないが料理に順位をつけるコンクールに出場するため、少女漫画におけるグルメ漫画は同作より始まり、グルメ漫画の原点の1つ」と見ている。そして『ミスター味っ子』の、特にアニメ版における「伝説的誇張」が施された過剰な反応で美味しさを表現するやり方は、『焼きたて!!ジャぱん』(橋口たかし。週刊少年サンデー)などへと受け継がれて大きな影響力を持った」。特に中華料理の題材で顕著となり、『鉄鍋のジャン!』(西条真二。週刊少年チャンピオン)やの『中華一番!』(小川悦司。週刊少年マガジン)などは途方もないレシピとリアクションのぶつかりあいでありながら、同時に料理漫画としての正当性も併せ持つ作品となった。こういった異端と正統のバランス感覚はゆでたまごの『グルマンくん』にもみられる。また、『ミスター味っ子』『中華一番!』はグルメ漫画は食べた人が大仰なリアクションするというイメージを印象付けた作品との見解もある。
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