名古屋鉄道譲渡車両(3790系)
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「東濃鉄道モハ110形電車」の記事における「名古屋鉄道譲渡車両(3790系)」の解説
第一次オイルショックを契機とした輸送量急増に直面し、車両事情が逼迫していた名鉄は、前述の通り東濃鉄道からの引き受け要請を受諾する形で、1975年(昭和50年)5月に東濃112編成を譲り受けた。なお、名鉄は車両引き受け要請受諾に際して、各部仕様が相対的に近代化されていた112編成の譲渡を希望し、導入に至った。 同時期の名鉄は、東濃112編成のほか、3880系(元東急3700系)およびモ870形(元札幌市電A830形)といった他事業者からの譲渡車両を多数導入し、喫緊の課題であった輸送事情の改善を図った。 導入に際しては、自動列車停止装置(M式ATS)の新設のほか、車体塗装がスカーレット1色塗装に変更するなど小規模な仕様変更が施されたのみで、総武流山電鉄へ譲渡された111編成のような運転台位置変更・乗務員扉の拡幅などは施工されていない。名鉄におけるスカーレット1色塗装は、従来7000系「パノラマカー」の専用塗装であったが、前述した3880系導入を契機として名鉄が保有する鉄軌道車両の標準塗装と定められたため、それを踏襲したものである。主要機器については東濃鉄道在籍当時と変化はなく、間接非自動制御(HL制御)仕様のまま存置された。そのため、名鉄における新形式は、名鉄の架線電圧1,500 V路線区にて運用される既存のHL車各形式と同じく3700番台に区分され、モハ112はモ3790形3791、クハ212はク2790形2791とそれぞれ形式・記号番号を改め、3790系と総称された。車体の車番標記は、他の譲渡車両各形式と同じく名鉄仕様の切り出し文字によるボールド体のローマン書体に改められた。 3790系は同社築港線の専用車両として導入され、従来築港線専用編成として運用されていた3800系ク2815(2代)-モ3816-ク2818の編成に代わって1975年(昭和50年)8月より運用を開始した。運用開始に際しては、前述したク2815(2代)をモ3791とク2791の間に中間付随車代用として組み込み、3両編成を組成した。また、残るモ3816-ク2818は制御装置の進段制限(力行制御の直列段固定)など築港線専用仕様を解除して幹線系統へ再転属し、幹線系統の運用車両増加に用いられた。 導入後は前照灯のシールドビーム2灯化が施工された程度で大きな改造を施工されることなく、終始築港線にて運用されたのち、1985年(昭和60年)3月28日付で除籍された。
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