古典力学との関係
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古典力学的には、粒子は決まった位置と運動量を持ち、その運動状態は位相空間上の一点により表現される。多数の粒子の集合体が与えられたとき、位相空間内の特定の領域に粒子をみいだす確率はリウビル確率密度と呼ばれる確率密度関数に従う。しかし、このような決定論的な取扱いは量子力学的な粒子に対しては不確定性原理のために不可能である。ウィグナー関数は古典的な確率密度分布と同様に取り扱うことができるが、ウィグナー関数は古典的な確率密度関数の満すべき条件を全て満たしてはいない。そのかわり、古典的な分布が必ずしも満たさない有界性を満たしている。 たとえば、ウィグナー関数は古典的分布ではありえない負値をとることがよくある。そして、ウィグナー関数が負値をとることは量子干渉が起きていることを示す指標である。ウィグナー関数にディラック定数 ħ よりも小さな位相空間体積における構造を無視するような処理(たとえば 伏見表示(後述)を得るために位相空間上のガウス関数で畳み込むなど)を施すと、半正定値関数となり半古典形式に粗視化できる。 負の値をとる領域が存在しても、(幅の小さいガウス関数と畳み込んだ場合)多くの場合その領域は「小さく」なる。つまり、その領域は ħ の数倍より大きくなることはなく、そのため古典極限(英語版)においては消滅する。 これは、位相空間上で ħ よりも小さな体積をもつ領域に粒子の運動状態を特定することはできないとする不確定性原理による遮蔽であり、「負の確率」という概念の矛盾を軽減している。
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古典力学との関係
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「シュレーディンガー方程式」の記事における「古典力学との関係」の解説
波束の局所化のレベルが上がっている。つまり、粒子がより位置を局所化している。 プランク定数をゼロに近似したとき、粒子の位置と運動量は正確にわかるようになる。これは古典的粒子と等しい。 シュレーディンガーが要求したのは以下のようなことである: 位置がr の近くであり, 波数ベクトルがk の近くであるような波束を表す解は, k (従って速度)の広がりがr の広がりを顕著に増やすようなことがないくらいに十分に短い時間内で, 古典力学で決定される曲線を描く。 与えられたk の広がりに対して、速度の広がりはプランク定数に比例するから、プランク定数をゼロに近似したとき、古典力学での方程式は量子力学から導出されると言われる。その極限がどのように取られるか、またどんな状況でかという点で細心の注意が払われる必要がある。 短波長極限はプランク定数をゼロに近似することと等価である。なぜならこれは、波束の局在性を極限まで強め, 粒子を特定の位置に局在化させることだからである(右図を参照)。ハイゼンベルクの不確定性原理を位置と運動量に対して使うと、位置の不確定性と運動量の不確定性の積は、ħ → 0に従ってゼロとなる。 σ ( x ) σ ( p x ) ⩾ ℏ 2 → σ ( x ) σ ( p x ) ⩾ 0 {\displaystyle \sigma (x)\sigma (p_{x})\geqslant {\frac {\hbar }{2}}\quad \rightarrow \quad \sigma (x)\sigma (p_{x})\geqslant 0\,\!} ここでσ は観測量の偏差の二乗平均平方根であり、位置x と運動量px (y とz についても同様)がこの任意の精度で知られるのはこの極限においてでしかない、ということが示唆される。 シュレーディンガー方程式の一般式 i ℏ ∂ ∂ t Ψ ( r , t ) = H ^ Ψ ( r , t ) {\displaystyle i\hbar {\frac {\partial }{\partial t}}\Psi \left({\boldsymbol {r}},t\right)={\hat {H}}\Psi \left({\boldsymbol {r}},t\right)\,\!} はハミルトン-ヤコビ方程式 ∂ ∂ t S ( q i , t ) = H ( q i , ∂ S ∂ q i , t ) {\displaystyle {\frac {\partial }{\partial t}}S(q_{i},t)=H\left(q_{i},{\frac {\partial S}{\partial q_{i}}},t\right)\,\!} と密接に関連している。 ここでS は作用、H は古典力学におけるハミルトニアン関数(演算子ではない)。ハミルトン-ヤコビ方程式で使われる一般化座標系qi (i = 1,2,3) は、r = (q 1, q 2, q 3) = (x, y, z ) としてデカルト座標系の位置に置き換えられる。 代入式 Ψ ( r , t ) = ρ ( r , t ) e i S ( r , t ) / ℏ {\displaystyle \Psi ({\boldsymbol {r}},t)={\sqrt {\rho ({\boldsymbol {r}},t)}}e^{iS({\boldsymbol {r}},t)/\hbar }\,\!} ここで ρ(r , t ) はシュレーディンガー方程式に対する確率振幅である。この波動関数を代入した方程式で極限 ħ → 0を取り、ハミルトン-ヤコビ方程式を導く。 関わりあいは、 粒子の動き(シュレーディンガー方程式の(短波長)波束解で説明される)は、動きのハミルトン-ヤコビ方程式により説明される。 シュレーディンガー方程式は波動関数を含み、そのため波束解は(量子)粒子の位置が、波面にあいまいに広がることを示している。それどころか、ハミルトン-ヤコビ方程式は、定位置定運動量の(古典的)粒子に適用され、その代わり(軌道上の)位置や運動量は決定論的で、同時に知られる。
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