取材源の秘匿(しゅざいげん・の・ひとく)
第三者の求めに対し、記事の元となった取材先に関する情報を秘密にできること。新聞やニュース番組などの記者に認められている。
民主主義で一般的に認められている国民の「知る権利」は、報道機関による「表現の自由」によって確保される場合が多い。取材源の秘密が守られないと、取材に応じない人が出てくるため、取材源の秘匿は民主主義を実現する上で重要な要素のひとつである。
民事訴訟法によると、職業の秘密に関する事項については、裁判で証言を拒否できると定められている。記者の場合は、取材源がどこの誰なのかといったことが職業の秘密に関する事項に該当する。
東京地方裁判所は2006年3月14日、米国企業の日本法人による所得隠しに関する記事を書いた読売新聞社の記者に対し、取材源の秘匿を認めないとする決定をした。一方、東京高等裁判所は17日、米国の健康食品会社が課税をめぐって米国政府に損害賠償を求めた訴訟の嘱託尋問で、NHK記者の取材源について秘匿を認める決定をした。
(2006.03.24掲載)
報道の自由
(取材源の秘匿 から転送)
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報道の自由(ほうどうのじゆう)とは、事実を告げ知らせる行為の自由。
- 1 報道の自由とは
- 2 報道の自由の概要
取材源の秘匿
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刑事事件については、石井記者事件で最高裁は取材源の秘匿に関連して憲法第21条第1項について「憲法の右規定は一般人に対し平等に表現の自由を保障したものであって、新聞記者に特種の保障を与えたものではない。」とし「その取材源について、公の福祉のため最も重大な司法権の公正な発動につき必要欠くべからざる証言の義務をも犠牲にして、証言拒絶の権利までも保障したものとは到底解することができない。」と判示した。 一方、民事事件については、下級審で旧民事訴訟法第281条第1項第3号(現行の民事訴訟法197条第1項第3号)にいう「職業の秘密」に当たるとして記者の証言拒絶権を認めた裁判例がある(札幌高決昭和54・8・31判時937号16頁)。 取材源秘匿との関連では、米国の企業が所得隠しをおこなっていたとされる複数社の報道に対し、NHKや読売新聞、共同通信の記者に対して取材源の開示を要求した訴訟のケースでは2006年3月14日の東京地裁判決が読売の報道について取材源を秘匿すべき事情は認められないと判断した一方、NHKの報道については2005年10月11日の新潟地裁・2006年3月17日の東京高裁判決は取材源の秘匿を認め、同年10月3日最高裁判所決定で確定した。
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