報道と中立性
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/03/30 08:09 UTC 版)
「表現の自由」、「報道の自由」、「知る権利」、および「偏向報道」も参照 日々のできごとに限らず建造物・風景・珍しい動植物など特に現代社会では人々はマスメディアの提供する情報を通して世界を認識することが多い。このようなマスメディアの影響力から権力者にはその情報をコントロールしたいという志向が現れることがあり、現にいくつかの国々では厳しい情報統制が実施されている。 情報統制の敷かれた国々では権力者にとって都合の良い情報だけが住民に伝わり、世界情勢や自国の置かれている状況も客観的に判断することが困難になる。冷戦末期、西側諸国の衛星テレビの情報は国境を越えて東欧諸国の人々の世界観や行動に影響を与え民主化革命の大きな原動力となった。 権力者によるマスメディアのコントロールが明確に表れるのがクーデター発生時であり、クーデターが発生すると情報によって市民や兵士の行動のコントロールを図るためまず放送局が占拠される。 こうした情報統制を防ぐために、民主主義国家においては表現の自由が保障され、報道の自由もその中において保障がなされている。このような自由はアメリカ独立戦争やフランス革命などの市民革命の中で、新聞などの行う報道が世論の形成に大きな役割を果たしたことによって確立され、樹立された新政府においては自由権の一部として法的に表現の自由が認められるようになった日本においても、日本国憲法の第二十一条において「集会、結社及び言論、出版その他一切の表現の自由は、これを保障する」との一文があり、この中で報道の自由は保障されている。さらに第二項では「検閲は、これをしてはならない」と定められており、検閲も明確に禁止されている。報道の自由には取材の自由や媒体の流通・頒布の自由が含まれている。 しかし報道の自由が確立されたのちも、政府とマスメディアの間ではその自由の範囲をめぐってしばしば対立が起きている。軍事的・外交的なものを中心に重要事項がしばしば国家機密に指定され情報流出が制限される一方、情報公開法が制定され政府の公文書等が一般に公開されるよう定められている国家も多くなってきている。また、ジャーナリストの重要な職業倫理のひとつに取材源の秘匿が挙げられるが、刑事裁判においてはある程度の尊重はされるものの、どこまでそれが認められるかについては議論がある。
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